内緒の時間

□ファンタジー
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世界には、二つの力で成り立っている。


大昔、私達の住む地球にはなんの力もない人間しかいなかった。
ある時、地球に隕石が降り注ぎ、人や生き物は不思議な力を手にする事が出来た。
力は二通り。
どちらもその人の内なる力を目覚めさせる事で能力を手にする。
国により覚醒するタイプは違う。
一つは「サイコパス(超能力者)」、もう一つは「マギリクス(魔法使い)」。

私達が住む日本は圧倒的に「サイコパス」が多い。
日本で能力というと、サイコパス…超能力者が殆どだ。
だからか学校の能力育成システムも殆どがサイコパス寄り。
対してマギリクスはサイコパスよりも少ない。
しかし、独自の能力波を生み出すこちらの方が世界的には貴重であり、優位性がある。

「…はぁ…」

万年能力検査でレベル1を取得するのはかなり堪える。
今年も「頑張りましょう」、だ。
頑張って発現するならとっくに発現している。
日本では産まれた時に能力資質検査を広く実施している。
大抵は超能力者として普通のCランク。
だが、産まれた時から「落ちこぼれ」という烙印を押された私は笑いの種なのだ。
落ちこぼれと言われて嬉しい人間がいるはずがない。
日々、家にも学校にも居場所がなく、無駄と思える能力練習をしてみる。

「能力…地水火風はどこに…はぁ…」

能力練習に使っていた空き地はいつの間にか不良の溜まり場になっていて、やむなく街の半分を占めている荒葷山の麓にあたる森林部へ移動した。
山は遠いけど、森の部分が広大で森林区域になる。
魔物が出るけど仕方ない。

「…はぁ…ふんっ!!!………………力んでも出るわけないか…」

おかしいなぁ。
ちゃんとDランクでも超能力者って検査出たのに…
何度目か分からないため息をつこうとした時だ。

「確かに力んでも無理だな。」
「っ!?」
「おお、悪い悪い。驚かせたか?」

人!!そして男子!!

「…」

えと、何故見つめられてるのでしょうか…

「お前、超能力者じゃねぇよ。」
「っ…」
「どっちかって言うと魔法使いだ。」
「…え?マギリクスは…」
「日本じゃ発現自体稀だから検査も自分で受けなきゃなんねぇんだよ。稀だっつっても、極小数は日本にもマギリクスはいるぜ?それより!」
「っ!?」
「お前、超能力練習してたって事はサイコパス診断もされてんだろ?」
「え?あ、うん…」
「やっぱな!世界的に見てもマギリクスとサイコパスの両方の力を持ってる奴はな、サイコパス診断されるけど力使えなくて落ちこぼれ認定されちまうんだよ。…俺もそうだった。」
「っ!!」
「…俺、東雲怜士ってんだ。お前は?」
「き、霧澤水華…」
「おし、水華。ちょっと付き合え!」

って返事する前に掴まれて空中にーって空中ー!?

「マギリクスの力を覚醒させれば箒に乗る事だって普通だよ。まー俺はボードだけどな。」
「ひぃぃっ」
「あと、マギリクスの力の核…マギスを覚醒させると、サイコパスの核であるサイコスも覚醒すんぜ。マギスが眠ってるから、サイコスも眠ってるんだよ。」
「そうなの?」
「おう。俺もそう言われたからな。」

街に戻ってきた。
そして、東雲怜士とやらがやってきたのはとある建物。
ここって区民館だよね?
毎年お世話になる能力検査もしてる…
ついさっきもお世話になりました。
だからああして家に帰りたくなくて森に行ったのに…

「おや?怜士。」
「おっさん!こいつ検査してやってくれ!」
「…、おや?霧澤さん。」
「こ、こんにちは…さっきぶりです…」
「検査は先程終わったよ。いつも通り…」
「違ぇよ。マギリクス検査の方だ!こいつ絶対俺と同じだと思うんだよな!」
「…ああ、そう言えば。霧澤さん。こっちに。」
「は、はい…」

検査の人…検査官の田端さんに連れてこられたのは普段立ち入り禁止の看板が立ってる通路だ。

「こちらはマギリクス検査を行う場合に使う棟なんですよ。マギスはサイコスよりデリケートですからね。別棟で行う決まりなんですよ。」
「そうなんですね…」

案内されてきたのは、大きな魔術陣の描かれた部屋。
なんだかいっぱいある…
外国のマギリクスの特集でしかこんなの見た事ないや…
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