内緒の時間

□仮
1ページ/67ページ

「ウザいんだよ!!」
「ぐっ…」
「あっ!いい事思いついた!…」
「へぇ?面白い事考えるじゃん!!」

私はどうして生きてるんだろう。
死んでもいいって、思ってた筈なのに。
今は死にたくないと思ってる。

「っ!!!!」
「「あっははははははは!!」」
「ナイス麗美ー!ブスは泥に塗れて死ねよ。」


ああ、どうして世界はこうも汚いんだろうか。

「うっ…ゲホッ…うぅっ」
「…」
「…?」
「生きてぇか?」
「…」
「生きて、いたいか?こんな事されてまで。」
「…される、理由は、私に、ない。」
「なら、復讐でもするのか?」
「…もうすぐ、する。」
「あ?」
「カメラ…付けて…おい…」
「へぇ…ガッツあるじゃねぇか。…」

この日が無ければ、いや、この人に偶然会わなければ、私はまだ汚い世界にいたかもしれない。



「…へ、や?」
「おう、起きたか。」
「…あの時の…?」
「おう。俺は東雲玲士ってんだ。お前は?」
「…霧澤、水華…」
「霧澤…」
「?」
「もしかして…数多の?」
「お兄ちゃん、知ってる?」
「ああ…友達…だったな…」
「…そう……なんで私を助けてくれたの?」
「あ?そうだな…目が、死んでねぇ。そういう奴は結構好きなんでな。」
「…じゃあお兄ちゃんは嫌い?」
「アイツは常ああだったろ。」

うん。

「家に帰ってねぇのか?」
「お兄ちゃんが死んでから追い出された。」
「…マジか……お前の家、マジでクソだな。」
「うん。」

能力のある世界。
でも、それとは関係なく、人は選民意識を持っている。
最たる例は家族だと思う。
親という存在に、子供は選別されるからだ。
数多お兄ちゃんと私は、親にとっては生きている価値のない人間だと言う。
むしろそういう人間が価値はないと思う。
テレビでやってる政治家の言ってる事の逆だからだ。
馬鹿じゃないかと思う。
それはクラスメイトもそうだと思う。
弱い者を寄って集って。
まぁビデオは公開録画してたからもうすぐ社会的に死ぬだろうけど。
あ。
ビデオ。

「回収しといた。えらく古い型なんだな?」
「ゴミ捨て場にあった。」
「そうか。ま、俺が人助けした事も流れたから俺の好感度もアップだな。」
「ん。ネット繋がる端末、ある?」
「ああ、あるぜ。」

映像は監視カメラ風にして撮ってある。
そしてとある「大手サイト」で公開していた。

「あ?…空き地に不審者が現れたらしい?撮って皆で見つけよう!…なんだそりゃ。」
「警察に届けたら謝礼金が出る。だから皆こぞって見てる。チーム戦と併せてよく見られてるサイト。」
「へぇ。…へぇ、コメント流れる奴か。」
「ん。第一段階。」

最初は何も無いとか、閲覧数が低いからクソコメントだが。

「お。…お前引き摺られてたのか?」
「うん。この子、念力持ち。レジスト出来るけど動画のためにわざとやられた。」
「良くやるな…」
『お。なんかキタ。』
『不審者っつか、これいじめ現場じゃね?』
『ここ知ってる。住宅街の中の小さな空き地じゃん。』
『え、やだ…近所でいじめとか…』
『うっわ…ボコボコ…』
『女の子可哀想…』
『つか、これ第二中の制服じゃね?』
『ああ、この辺でわりといい学校だったよな。うわー、いじめする奴いたんだー。』
『あ、こいつら知ってる。会津進の塾行ってるやつ。』
『あー、いたなそう言えば。成績クソで良くここに居んなってインテリ共が笑ってた。』
『てことは何?勉強のストレスをいじめで発散?』
『最低ー』
『え、うそうそ…それやったら女の子死ぬでしょ…』
『生き埋めにしやがった!!』
『通報しよ。』
『あ、待て?誰か…うわ!この人レイジさんじゃん!』
『「ウルフズ」のリーダーじゃん!』
『あ、助けた。かっけー!』
『あ、でもあの女三人はとりあえず動画コピって通報っしょ。能力やっぱ強ー』
『女の子助けたレイジさん表彰されんじゃね?流石リーダー。かっちょいー!』
『こいつら馬鹿なの?二週間前からこの動画あったのに。』
『な。顔もバッチリ映ってるし、トピ主に感謝じゃん。』

よし。
レイジさんのお株も上がってるコメント多すぎで画面が白かったけど、まぁいいや。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ