内緒の時間

□16歳
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社会には色々なコミュニティがある。
現代の人間がまず属するコミュニティは家族だ。
そして次に学校。
その次は仕事。
家族というコミュニティは常にあって、学校と仕事はほぼ毎日。

大きなコミュニティ程、そこに入ればグループ化していく。

私は霧澤水華。
仕事は昔からモデルをしている。
とはいえ、特別な事はしていない。
好きな物は食べるし飲む。
ただ、昔から学校は好きじゃない。
授業が、ではなく、同じ授業を受ける人達。
俗に言う所のクラスメイト・同級生。
グループに入っても入らなくてもいじめはあるし、特に女子となると…
まぁ男子も大概だけど。

今私が通う学校には女子のグループは少ない。
というのも、一年、二年、三年それぞれに大体5から6人程の不良がいる。
それぞれが派閥というグループを作って、皆それぞれどこかに所属しているからだ。
最悪と言われるのは私のいるクラス。
そのコミュニティを形成する不良が二人もいる。
しかもどっちも最大派閥だ。

コミュニティに属せなかった子達はすぐに教室からいなくなる。
いわゆるいじめられっ子だ。
外に出ても他のグループがいるからどこに居ても一緒と思うけど。
私はそんなのも無駄と思うからうるさい教室にいるけど。

この世界にはもう一つ、コミュニティが存在する。


能力者と、無能力者。
無能力者は必然的に能力者に搾取されるのが当然みたいな感じは好きじゃない。

そして、能力者でも同じだ。
力が弱ければ強者の言いなりになるのだ。
そう、この学校を牛耳る数多の不良の全てが能力者の強者。
故に人は寄る。

「…学校より会社の方が酷い気がするなぁ…」

同じ仕事をしていると、それは顕著だ。
特に芸能関係は。
私もずっと同じプロダクションに入っているが、それこそ大手。
無能力者もいるけど、能力者…しかもランクが高い人が多い。

「…」
「ねー!霧澤さんってぇ、モデルしてるってホントぉ?」
「ええ、そうだけど。」
「あっははは!マジで!?この程度でモデルなれんならうちらも行けんじゃん?」
「ねー!」

馬鹿か。
この人達確か二人の派閥の内の人達ね。
リーダーは学年の学力順位三位のメガネ…高階圭介だっけ。
ガリ勉不良ってどうなんだろう。

「やりたいならプロダクションのオーディション受ければ?あなた達じゃ無理だろうけど。」
「「あ?」」
「世間のお勉強、したら?」
「な、なんですって!?」
「…おい、うるせぇ。」
「「っ…」」
「世界の職種派閥の事知らねぇのかよ。」
「マジかよ。」
「バイトもした事無いわけー?」
「これだから学力重視の人って、ねー?」
「ねぇ?」

もう一人の派閥…秋山玲士。
派手だし、能力使わなくても腕っ節だけで強い人。
ホストとか向いてそうよね。
…てなるとモデルにもか。

「何の騒ぎだ?」
「おい高階。てめぇの所の「お勉強」位見てやれよ。」
「何?」
「職種派閥ナメた言動してっと、その内殺されるぜ?」
「…」
「「ひっ…ご、ごめん…高階君…」」
「ふん。」

けど、学校の派閥って、正味な話職種派閥の下部組織なんだよね。
高階君は大手ゼネコン企業系列の社長の息子。
派閥としては建築業種。
日本でトップクラスの大手タカシナグループの会長一族。
ここに居る彼の派閥はそもそもタカシナグループの系列なのだ。
建築業種って下請けまで数えられるから結構人脈が強いのよね。

他でいう派閥とは、芸能・料理・服飾・司法だ。
芸能と服飾は仲良し。
切っても切れない関係だしね。

「…」

ただ、この事が後に私と秋山玲士の関係を深くする事など、今の私には知る由もなかった。
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