アイドル

□ツキプロ×魔女
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私は、両親を知らない。
いや、知らない訳ではない。
あった事は無くても、私は私の家族を知っている。

『おじいちゃん、どうしてわたしはアメリカにいちゃいけないの?』
『それは…お前は…』
『ねぇ、どうしてわたしだけにほんにいくの?』
『ごめん…ごめんなっ…』
『おじいちゃん…パパは?パパはどこ?』
『…お前が日本に行くのはママの産まれた国だからだよ。』
『?』

こうして、私は色んな所を経由して、日本に来た。
実にその時には4年も経過していた。
私はその間に七歳になった。
その頃には自分がどういう存在かも分かる訳で。

『最強の魔女…ハリウェルの新しい最強…今ここで…死ね!!』
『っ!!』
『逃げなさいポーラ!!』
『おばあちゃーん!!』

怖い怖い、普通じゃ体験しない事でも私には日常。
それが、中世より続く魔女一族の宿命。
私は、魔女と、そして天使とも呼ばれる白の守護者の子の子。
そして。
予言の、魔王再来に唯一対抗出来る、最強の魔女。
それはおばあちゃん達の話しじゃ無かった。
その予言は。
国境すら超えた魔女の血と、天使の血があって初めて産まれた。

それが私。
そして私は一人、いや正確には大おばあちゃんと一緒に住んでいる。
日本で。

「全く…日本の生活はアメリカより過酷だわ。」
「おばあちゃん?どうしたの?」
「こらポーラ。おばあちゃんはやめなさい。おばさんと言いな。」
「ごめんなさい…」
「ったく…ああもうまた物価が上がるわ…あんたの学校の物も買わなきゃいけないってのに…」

物価の話しだった…

「こほん…プルーおばさん。私ももう17だよ?バイトする…」
「ダメダメ!いい?あんたは確かに早くに魔女になったけど!いつ魔王が刺客を送って来るか分からないんだから、それまで魔女修行メインよ!あと学生なんだから学業メイン!」

いや…プルーおばさん仕事でいない日多いじゃん…

「…あら?あー、もう電球変えなきゃいけない?」
「じゃあ取ってくる。…地下室だっけ?」
「ええ、そのハズよ?…レオがまた弄って無きゃね。」
「おじいちゃん…」

おじいちゃんは白の守護者兼魔法学校の先生なので一瞬しかいない。
会えない…

「…あ。奥井先輩に辞書借りっぱなしだった…」
「あら。ちゃんと返しなさいよ?」
「うん。」


学校の先輩、奥井梨花さん。
優しい先輩。
入学式の時、構内で迷っていたら助けてくれた。
それからずっと仲良くしてくれている。
確かお兄さんがアイドルだとか。
あんまりそういうの見ないからな…

「おばさんは?明日お仕事?」
「勿論でしょ。明日は…ああ、アイドル君達の撮影なのよね。」
「ほえー…」

おばさん、カメラマンです。
ちなみにこの家。
神様?の素晴らしいお力でアメリカのお家と同じ間取り。
私の部屋はおばあちゃんと同じ所なんだって。
昔はパパのお部屋と思ってた。
おばあちゃんレストランしてたから…スグに出れるお部屋にいたし…

「あんたは本当にパイパーにそっくりねぇ。性格は…似てないけど。」
「そう?それなら嬉しいな。」

今日はひいひいおばあちゃんに教えてもらったご飯してます。
和食も好きだけど、アメリカのホームクッキングも好き。
得意はおばあちゃん直伝のローストビーフ・ワインソース掛け。
レストランでの採用がかかった試験で作ったんだって。
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