アイドル

□ツキウタ。×超電磁砲
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「…」

10年前。
私の夢は、たった二年程で終わった。

「よしっ」

それでも。
一度でも触れてしまったら。
戻れないのだ。

「ふっ…くぅっ…」
『学園都市では、超能力開発を…』
「うっ、くぅっもう、少し…!」

十年前。
私は夢と希望を胸に学園都市に入った。
が。
二年。
親の離婚という現実に、学園都市から戻された。
それから10年。
ずっと、ずっと練習している。
今年、私は高校一年生となった。
でも。
何をしていても満たされる事はない。
能力の練習以外は。
隠れて練習する日々。
私の能力はかなり特殊で稀少。
だから学園都市側は高額の奨学金や援助金を積み上げて私を引き留めようとした。
だけど、私を引き取る母親は、それを拒んだ。
学園都市に入れたのは父親で、母親は反対していたから。
だから、無理矢理連れ戻された。

「ふうっ念力の練習終わり!…少し浮いたかな…」

残念ながら、学園都市にいない以上身体検査を受けることが出来ない。
故に今の私がどのレベルか分からない。
まぁ今の大岩持ち上げ練習は最近始めたけど、小物程度ならたくさん動
かせる。
瞬間移動も長い距離を飛べる。

私の能力は、「地球再現」…漢字で書くとあんまり意味分からないけど、英語ならわかり易い。
私の能力は「ジ・アース」という。
地球を一つの空間と捉えて、地球に起こりうる「自然現象」を発生させ、操る事が出来る。
つまり、皆が念力か瞬間移動か、どれか一つなのに、私はたくさんの能力を一つの能力として持っている。
決して多重能力者じゃないよ。
自然っていう、あくまでも一つの括りの中の能力。
雷だって起こせるし、氷だって作れるよ。
光を利用して見えなくする事だって出来る。

だけど。
超能力は外の世界では浸透すらしていない。
バレれば、化け物扱い。
だから、隠れて練習するしかない。
そう。
10年変わらない事。
これからも、そうだと思ってた。

学校にて。

「ねー、水華はどれがいい?」
「…は?」
「もー!聞いてなかったの?」
「日菜子が現在どハマり中のアイドル、SolidS。の、グッズ抽選券を無駄買いした上幾つもダブるという奇跡。」
「いーの!!翼のグッズが手に入ったから!!」
「へー…」
「あたし大さん。」
「わたしは
志季さんっ前のグループからのファンだからね!」
「って必然私この里津花って人じゃん…」
「良いじゃん!里津花かっこいいし!」

仲の良い4人組。
でも私は…ちゃんと踏み込めない…

「てことで!じゃん!」
「何これ?」
「SolidSのミニライブの入場券!グッズ欲しくて四枚も買っちった!」
「「金持ちめ!!」」
「行こー!皆で行こー!!」

い、行ける…かな。
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