アイドル

□翼お相手
1ページ/11ページ

『お前、つまんない。』

そう言われて振られる事が多かった。
付き合おうと言われて付き合っただけなんだが。
大学一年の冬。
そう言われた上に浮気をされていて。

もう余程の事がない限りは彼氏は作らないと、そう決めた。

「あーっ…まじでやばい…どうする俺?」
「…奥井君?」
「おー、霧澤ちゃん。」
「どうしたの?ていうか久しぶり?」
「あっははー…そう、久しぶりで全くレポートに手が回らねぇの。」

アイドルデビューしちゃったもんね。

「そうそ。んで出席日数がやばいと。」
「あらら。…ちょっとだけなら手伝おうか?」
「マジ!?あ、でも霧澤ちゃん仕事してっしょ?大丈夫?」
「うん。平気。」
「ならお願いっ」

奥井君のお願い、可愛いなぁ。
講義で何度か隣の席になった位だけど。
派手な様に見えて彼は努力家。
今はアイドルの方に力が入ってるんだろうな。

「ふっあーーー!!マジで助かった!ありがとー!」
「期日間に合って良かったね。」
「うん!あ、今日仕事大丈夫なの?」
「実は改装中でしばらく休みなの。」
「そうだったの!ならさ、今日のお礼にメシ奢ら
せてよ。」
「ええ?別にいいよ?」
「いーや、奢らせて。そういうのはちゃんとする方なの、俺って。」
「ふふっならお言葉に甘えようかな。」

実際特に用事もないしね。
で、連れて来てもらったバー。

「霧澤ちゃん、飲めるっしょ?前に飲んでるの見たし。」
「うん。」
「良かったぁ。間違ってたらどうしようかと思ったよ。」

というか良く覚えてたね。
飲みに行ったの二年前じゃなかったっけ?

「うん。いやね、あの頃ブレスレットしなくなったなーってさ?」
「ブレスレット…ああ…あれ。うん、あれは捨てた。」
「えー?似合ってたのにー。」
「ははっ元彼のプレゼントは余程じゃない限り置いとかないと思うけど?」
「あらら。そうだったの?」
「うん。」

むしろ浮気相手に渡してやったわ。

「浮気って…」
「うん。」
「そりゃ良くないよねぇ。遊びと付き合い混同しちゃさ。俺そういうのは嫌いな口よ。」
「浮気はしないって?」
「ま、本気になれる相手もいねーんだけど?今は音楽とファンが恋人ってやつ?」
「ふふっ」
「ああ、あとうちのダーリンな。」
「?」
「うちのリーダー
、俺の誕生日がミツバチの日だからってハニーとか呼ぶんだぜ?だからダーリン。」
「ふふっ楽しそうだねぇ。」
「うんっすっげー楽しいっ」

奥井君が言うとすんなり受け入れられちゃうわね。
そして…やっぱり可愛いな。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ