□ほのぼの
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ある日。

私は異世界へと飛ばされました。

着いた先で目にしたのは私達の世界と変わらない世界。
いや。
全く違う。

そこは魔獣がいるし。

魔法が使えるし。

魔術なんて物がある。

なんとも不思議な世界だった。

見知らぬ世界で、見知らぬ街で、私はどうしようもなくて。

今後の事をつらつらと考えていた。

ふと気付くと森の中。
どうやら考え事をしている内に森の中をさ迷っていたようだ。
途方に暮れた私は更に森の中を進んだ。

すると1軒の家があった。
夜も更けて来てどうしようもなくお腹も空いた。
私は勇気を振り絞ってドアを叩いた。

「なんだい?」
「あの…」

どうやって説明しよう。
わからない私は言葉に詰まってしまう。
だが家主であるお婆さんは思いもかけない言葉を言った。

「おやおや、こんな所まで歩いて来て…知らない所に連れてこられてびっくりしたろう。さ、中へお入り。」

と。
少し躊躇うも、少し日が落ちただけで寒いこの土地は、家の中が十分安心出来るのだろうと中へと入った。

「ほら。夏服じゃ堪えるだろう?」
「あ、あ
りがとうございます…」

渡されたショールを羽織る。
確かにここは温かかった。

「さて。お前さん、良くここまで迷い込んだねぇ。」
「えと…」
「安心おし。あたしゃお前さんがどこから来たのかは知っているよ。皆そうだからね。」

お婆さんから聞いた話は突拍子も無くて、言ってることの半数は分からなかった。
けれど、1つ分かった事はある。
眠気が勝ってきた頃にお婆さんが言ったこと。

「…それから、ここに来たのなら最低でも1つ、何か力がある筈だよ。明日…おや、続きは明日だね。」

そして私は眠ってしまった。
薄ら残っていた記憶では、お婆さんのシワシワの手はとても優しかった。
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