□神の子
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昔々、この星がまだ地球と呼ばれていた頃。
人間には魔力はありませんでした。
しかし、度重なる悪の王の侵攻を受け、その度に人間は力を宿して来たのです。
そして、人間の代表と、天族の代表と、魔族と代表と、龍族の代表と、妖精族の代表とで、地球は新たな星となり、新たな世界を築き上げたのです。

星を守る者は守り人と呼ばれ、数人ほど顕現する様になりました。

それまでは人間の代表のただ一人だけでした。
しかしそれはいつの時代も勝ち負けの存在しない無の世界へと向かうだけだったのです。
だから人間の代表はそれぞれの種族の代表と、世界の理を作り替えたのです。
守り人はなにも人間だけではなく、それぞれの種族からも。

そして、全ての種族が手を取り合わなければならないと。

そうして始まった新世界。
しかし悪の王も再び蘇っていたのです。

しかし、その時々の守り人達は力を合わせ、悪の王を封印するに至っていました。

そして現代。
様々な国が様々な様式とシステムで成り立つ様になった時代。
人々が悪の王の恐怖を忘れた頃。

とある王城に一つの産声が響き渡る。

「お産まれになったっ」

「漸く…」

ここは時空国。
時空神クロノスと、その妻で魔王のディアナが治める世界でも有数の他種族国である。
天族、魔族のみならず、妖精族や龍族までもがこの国に住む。
何故か。
それはもう神話となったあの新世界創造の天族と魔族、そして妖精族と龍族がここにいるからだ。
そして今。

「女の子だ!姫様がお産まれになりましたぞー!!」
「おおっではまさか!」
「遂に…お戻りになられたか!」

人間の代表だった者の魂は転生を果たし、ここに戻ってきたのだ。

「名は…水華姫!!!」

沸き起こる歓声。

「あっあの!」
「んん?お前は…」
「陛下…いや…水華姫様にお目通りは出来ますか!?」
「あと数刻待て。皆を集めておいで。」
「っ!はい!!」

人々の歓声が届く時空国の時空塔の中。

「王、お産まれに。」
「うむ。漸くだな。」

そこに真紅の髪の男。
この男こそ、この国の王であり時空を平定する神クロノス。

「…」
「心配ですかな。」
「当たり前だ。我が子となれど…水華の運命は変わらぬ。」
「だからこそ、我々とて抜かりなく。」
「うむ。水華
だけにもう重荷を背負わせはせぬ。」

新たな世界で、新たな希望と不安と共に。
永劫変わらぬ運命を受けた一人の子を幸せにすると決めたあの日から。
クロノスは鋭く空を見つめた。

「必ず…」
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