混合世界

□仮
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世界は。
とても優しくとても残酷。


そして寂しい世界だ。


「…」

中学校入学から早くも三ヶ月。
地方から出てきた私は未だにクラスに馴染めずにいた。

「…はぁ…」

人に話しかけるのは勇気がいる。
全く知り合いがいないこの場所ではなんの後ろ盾もなく。
周りは元から既知であるが故にどんどんとグループを作っていく。
ああ、本当出てくるんじゃなかった…

しかし、この世界は何とも不平等なもので、世界基準の能力ランクで全ての階級と待遇は決まる。
まぁ昔からある財閥とかは例外だけど。

そして私は平均値Cランク。

「空が綺麗なオレンジ色だぁ…」

今日も何事もなく、自分の勇気の無さに打ちのめされながら終わる。


「さて、と。…ん?」

と、出ようとすれば普段開くことのない階段への扉が開く。
咄嗟に隠れる。
出てきたのは男女。
しかも男の子は…

「(うちのクラスの…鳥海君、だっけ?)」
「あ、あの!私鳥海君の事が好きですっ」
「…」

おお、生告白!
…完全に逃げるタイミングを失ったぜ。
しかし…三ヶ月かそこらで他人の何を
好きになるのやら。

「…悪いけど。話した事もないので、その想いには応えられません。」
「なっなんで!?」

いや、だから言ったじゃん。

「はぁ…」
「鳥海君がこんな人だとは思わなかった!」

勝手に告って振られたら相手のせいかよ。
てゆーかそもそもなんでOKされる前提で話してんだ。
走り去った女生徒を見送った彼。
いや、君も行ってくれないと出れな…

「で?いつまで隠れてるつもり?」
「!?」
「あの人には見えなかったけど、俺の位置からはあそこに反射して見えてたんだよね。」

おおう…おのれステンレスタンクめ。
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