多重能力

□一
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夏休みももうすぐ終わる、そんなある日。
たまたま学び舎の園の外で一人の女の子に出会った。
…公園で唸ってたその子は用事を済ませた二時間後も同じ様に唸っていた。
面白いからずっと見てたんだけど。

「…はぁ…」

唸ってたと思えば何度もため息。
と思えばまた唸り出す。
この公園は人の出入りが殆どなく、もうすぐ完全下校だというのにその子は動かない。
次第に危ないなぁと、軽い気持ちで見ていたら。
数人のゴロツキ…多分レベル0のスキルアウト達。
でもあの子は気付いていない。
しばらく成り行きを見ていたら案の定あの子は絡また。
仕方無いなぁ。

「…ねぇ。」
「アン?」
「なんだテメェ…」
「女の子に絡むなんて男以前に人としてどうかと思うけど。」
「あぁ!?」
「オレたちはただ、なぁ?」
「そうそ。頑張る女の子を応援する為によぉ?」
「っ…」
「だったらなんでその子はそんな泣きそうになってんのよ。」
「はぁ!?」
「…コイツ、良く見たら翠鳳の制服着てんじゃねえかよ。」
「なんだなんだ、お嬢様がゴロツキに物申すってか!?」
「ギャハハ!ウケるわー!」

ウケるわー。
バカっぽい。

「…バカ相手は疲れるわ。」

私に手を
伸ばして来た奴を吹っ飛ばす。

「能力者っ」
「あれは…風力使いか!!」
「…(風…)」
「消えな。私がまだ何もしない内にね。」

そう言いながら今度は奴等の足元の地面を別の力で爆発させる。
一応これは使っちゃいけないけど…ま、バレはしないでしょ。
スキルアウト達はその爆発を見ただけで逃げてった。
弱いなぁ。

「あっあの!」
「ん?」
「助けてくれてありがとうございます!」
「あぁ、いいよ。けど、こんな遅くまでするならもう少し治安の良いところでする方がいいわよ。ここ、不良が集まる学校近いから。」
「えぇ!?」
「ほら、完全下校時刻だよ。今度は警備員に絡まれないうちに早く帰りなさいね。」
「あっはい!」

さあー私も家に帰ろーっと。
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