□転生令嬢
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「はぁ…」

今まで縁のなかった城を見上げる。
わたくしレティシア。
レティシア・クロノワールと申します。
地球からこちらの世界に転生してきて、魔力があり魔法が扱える事に楽しんで冒険者までやってる伯爵家令嬢です。
うちわりと緩いので冒険者も伸び伸びやっとります。
が、困った事に我が国には一風変わったものが存在する。
それが、婚活。
なんでもひいひいおじい様の頃に自由恋愛の風潮が高まった(当時の国王と王妃はダメダメだったという伝説を作ってる)故に婚姻年齢が上がってしまった。
つまり行き遅れる人が続出し、貴族の人数が減ったのだ。
どうにかしようとおじい様が成人なされる数年前にとある法律が施行された。
貴族限定の、貴族の婚姻法にだ。
それは、成人もしくは成人前の高位貴族の元に候補が寝泊まりし仲を確かめた上で婚約・婚姻するだ。
まぁある程度本人の意向を融通されるようだけど…
基本的に高位貴族となると相手をあまり重要視しないのよね…

で、成人…前のわたくし。
現在14歳です。
伯爵家ながら、宮中伯のお父様のお陰でこの度王太子殿下と第二王子殿下、第三王子殿下の相手候補として名を挙げられてしまったのだ。
まぁ…お父様陛下の側近ですからね…
王太子殿下と第二王子殿下は歳上、第三王子殿下は一つ上です。

「レティ。こっちだ。」
「お父様。…」
「すまんすまん。こっちも陛下との小競り合いがあったんだ…許せ。」
「…もう…まぁ肝心な所は弱いってお母様も言ってたしね。」
「うっ…」

今世のお父様、二枚目俳優位のイケメン。
茶髪だけど常にポニーテールにしてる。
お母様も茶色系の髪色。
だからお兄様達もお姉様達も髪色は皆茶髪。
だけどわたくしは産まれた時から銀髪。
しかも白銀。
魔力の許容量がめちゃくちゃ多い資質に現れる身体的特徴で、今世では青い瞳ですがこれも宝石眼と許容量バチくそ高い身体的特徴。
これを見て家族…というか一族で歓喜の声を上げたとかなんとか…
代々、瞳の色は色々あれど茶髪家系だからね、どっちも。
とはいえ狙われてはと封印されたら茶髪に普通の青い瞳になったけど魔力の強さはかわらないから。
だからまぁ冒険者も許されている。
なんせ屋敷半分吹っ飛ばしてしまったからね…
故意ではないにしろ、色々経験して制御を覚えろ…と10歳…ではなく6歳で冒険者になりました。
基本的には10歳。
マナーレッスンに教養、冒険者と忙しくしていた。

「わぁ、綺麗な部屋ね。」
「ああ。お前が寒色系の色が好みだと言ったらこうなったぞ。」
「そう?」

落ち着いていながら過ごしやすそうね。

「今日は父親を伴っての昼餐だ。殿下方との面通しの意味がある。」
「分かりました。…解いちゃダメ?」
「駄目。」
「ちぇっ…」
「顔を合わす度に言われても駄目。」

何とかして封印を解きたいわたくし。
毎回聞いてるから恒例になってるわね…
ドレスを着替える。

「普通は侍女が必要なんだがなぁ…」
「あら、お父様。うちに余裕のある侍女の数がいるのです?」
「…すまん…」

実は、うちの困った問題として借金がある。
放蕩叔父様が事業に失敗してお父様が知らぬ間に保証人になっていた為だ。
勿論失敗した事業はお父様が引き継いだ途端上向き修正されてるし、事情があるし貴族だしってので金貸しもある程度融通してくれている。

とまあそんな訳で借金があるから最低限の使用人しかいない。
だからこそ、お兄様達に魔力を伸ばし魔法であれやこれや出来るよう考え抜いた。
それで魔力鍛錬が確立した。
まぁだから屋敷が半分吹っ飛んだとも言う。

「魔塔のローブは着なくていい?」
「大丈夫だろ。まぁ魔塔所属の者として動く時はまた伝えるから。」
「ん。」

実は。
ひいひいおじい様の四番目の弟というのが現魔塔の主である。
めちゃ強で魔術師最強の名を未だ保持している。
魔力鍛錬をしたら兄妹全員…というかお父様を始めお母様も他の叔父達も魔術師となれた為、全員で大叔父様の所に向かった。
全員魔塔所属ではある。
なんでそうしたか?
放蕩叔父のやらかしの借金というのがまさに国一つ動かせる巨額だったからだ。
しかも他の叔父達も知らぬ間に保証人と担保になっていて、どうしようも出来なかった。
だからこそわたくしも手っ取り早い金稼ぎとしてたまたま屋敷も吹っ飛ばしてしまったし(ここは修復魔術で直した)にっちもさっちもいかず大叔父様を頼ったのだ。
大叔父様も遠い目で「我が家には一人は馬鹿が生まれる運命かのぉ…」と手助けしてくれたのだ。

「あ、大叔父様からね。」
「おう。」
「バランお兄様とわたくし、試験受かったから上級のローブ送るって。」
「おぉ!流石我が子!…吹っ飛ばしてないだろうな?」
「失礼な。わたくしは錬金術師としての力量査定です!」
「何を作った…」
「ん?聖石。」
「お前な…んん?薬師もか?」
「エリクサー。」
「…まぁ…そういう従魔だしな…」
「うん。」

お父様、元々陛下の側近だけど、この度魔術師となりましたので更にこき使われているよう。
そもそもうちの国って魔術師少ないからね。
ちなみに魔塔所属の魔術師は試験を受けてランクが決まる。
騎士、冒険者、魔塔の魔術師は混乱が無いよう同じランクが設定されている。
ああ、あと生産職もだね。
見習いとかは総じてノーマル。
そこからアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ。
プラチナ以上と認められれば、その次のエメラルド、トルマリン、サファイア、ルビー、そしてダイヤモンドとなる。
大叔父様は勿論ダイヤモンド。
お父様は元々知識とか凄いあったからかあっさりルビーだった。
わたくしと三番目のお兄様はこの度ゴールド試験合格しましたのでゴールドランクの魔術師である。
早く輝石ランクに達したい所だ。
そんなわたくし、今世では魔術師の他攻撃は格闘と弓を、生産職は錬金術師、薬師、料理人である。
魔術師って生産職と相性良いのよね。
お兄様達も何かしらに目覚めている。
この前なんか…

「あ、ジェロモ兄様のゴブレット。」
「ああ、陛下が気に入ってくださってな。」

またでっかい銀のゴブレットですね。
トロフィーみたいに見えるよ。
とまあこんな感じでやってたら皆錬金術師にはなっとるな。
大叔父様曰く魔術師で生産職になれば一昔前は当たり前の光景だったとの事。
魔術や魔法で物作るからね。
手でやるより雑味が少なくなるんだよ。
とはいえそれを突き詰めて良くしようと思うなら手で学べというのも側面である。
結局は作って覚えてから魔術の方が性能は良い。

「クロノワール伯爵、ご息女レティシア嬢ご到着です。」

とはいえ。
まだまだ結婚する気ないんだけどなぁー…
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