□転生令嬢
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納得いかない。
わたくしはレティシア。
レティシア・クロノワールです。
実は転生者です。
だから貴族の学院で伯爵家ながら最優秀クラスに入れているんですが。
今世のわたくし結構美少女よ?
茶髪なのは置いといても、珍しい宝石眼だし、出るとこ出てるし、教養もバッチリ!
なのに、わたくしの意見は理想論で笑われ、同じ事を言った男爵令嬢は素晴らしいと持て囃される。
一度目は腹が立ったが、二度三度続くと呆れてしまう。
ま、そういう輩は相手にしないけど。

「キキッ?(どしたの?)」
「何でもないわ。ただ、ちょっと…」
「キキッ(ああ、あの男爵令嬢?)」
「キキッ(あいつ魅了のスキル使ってやがるぜ!)」
「キキッ(嫌だよねぇああいうの。)」
「やっぱりそうか…てか良く知ってるわね…」
「「「キキッ(魔物には分かるもんだからなー!)」」」
「いや、あんた達魔物じゃなくて魔植物でしょ。まぁ区分は同じか。」

今日も今日とてマンドラゴラのお世話です。

「どうしました?」
「あ…いえ…マンドラゴラ達が、彼女が魅了スキルを持って使っていると…」
「やはりそうなのね。…あなたがいると魔植物の育成が楽だわぁ。」
「あはは…」

わたくしの今世での素晴らしい所。
魔物の言葉…というか思考が読み取れるのよね。
魔力があって戦う世界。
楽しんで魔力伸ばして、騒ぐお父様無視してお母様の許可の元10歳で冒険者やって、ソロで戦える令嬢になりました。
学院はね、貴族なら皆入らなきゃいけないから。

「キキッ(踊るぜ!)」
「はいはい。」

そんなわたくしが活用するのは従魔術。
屋敷にはテイムした様々な魔物がいるわ。
まぁ従魔居なくても戦えるけどね!

「それに関しては秘密裏にこちらでも対策しよう。魅了に掛かる者などいないと思っていたのだがな。」
「ですねぇ……シルベスター教諭?何故ここに?」
「そもそも私はクロノワール嬢の担当ですから。人間以外の物との意思疎通スキルは検分しがいがある。」

ええ、人間以外ですがね。
生まれた時から人間以外の声が聞こえていた。
両親の従魔だけでなく兄姉達の従魔も。
初めてそれが周知というか…わたくしだけだと気付いたのはお姉様の精霊と話してた時だ。
精霊は気に入った人間としか言葉を交わさない。
わたくしは元から全部聞こえていた。
それに兄姉達が気付いて騒いだからあると気付かれたのだ。
基本的にステータスは本人しか見れないからね。
で、あれよあれよの間にステータス確認の為にお高い魔道具を使って見られたのだ。
あの時魔道具と初めて出会ったわね。
それから魔道具にも興味を持った。
作るには魔力が高くないとダメって気付いて、魔力を高めた。
まだまだ伸びるわよー。
そんな訳で、冒険者では魔術師としてだけでなく料理人、薬師、錬金術師と学んできた。
料理人と薬師は元々料理は好きだしやりたかった。
薬師もそう。
…前世では苦手分野故に夢で終わったけど、こっちのは薬草とか魔物素材…いわゆるゲーム的なシステムがあるから出来る。
錬金術もそうだね。
ちなみに魔術師以外の戦闘職としては弓と拳闘士。
そう、狩人と格闘家である。
とはいえ令嬢ですからね。
優雅に戦う事をしてます。
拳闘士というか、メインは足技なんだけどね。
格闘家は近接対応で覚えただけ。
わたくしがよく居るこの学院の温室は、薬師にとっては楽園そのものである。
入学早々マンドラゴラの育成に抜擢されてしまったのよね。
例の意思疎通スキルがあるから。
マンドラゴラ、魔植物区分だけど魔物でもあるしね。
旅をして、感じた事を学院でも…なんて、全く出来てない。
それもこれも、何故か優秀クラスにいる馬鹿な男爵令嬢のせいだ。
一部の高位貴族の子息達が取り巻きになってる。
まぁそっちは乙女ゲー様相ですよね。
関わりあいになりたくないからわりと離れている。
そもそも学ぶべき授業も旅をしてきたから個別試験で全部クリアしてる。
だから授業免除も許可されている。
だから授業に出ずに基本的には図書室か温室か飼育場にいるのだ。
飼育場は従魔クラスの授業でいるからね。

「しゃ。」
「おかえりシル。」
「しゃっ!」

小型の子達は学院に連れてこれるから連れてきている。
入学早々嫌な気分だわー…

ま、でも魅了に掛からない人が殆どなので取り巻き以外の人は男爵令嬢に塩対応だ。
というか男にしか愛嬌を振りまいていない所を見ると勘違い令嬢かもね。

「…意思疎通が出来ると薬の材料と見れないのでは?」
「いえ?決まってしまったら割り切れますよ?」
「「「キッ…」」」
「言葉かわせた所でわたくしは人間で魔物は魔物ですし。従魔とは違いますからそこは特に何も?」
「そうか。マンドラゴラは従魔にしないのかね?」
「わたくし既にマンイーターがいますからマンドラゴラはもういいですかね。」
「「「キッ!?」」」

お世話楽しいけどめんどくさいのはめんどくさいからね。
今日は新しい魔植物が来るらしい。
どんなのか早く見てみたいのよね!





「楽しかったーっ」

新しい魔植物の世話を心ゆくまでやりました!

「あら?なんだか騒がしい?…何かありまして?」
「それが!ご公務でご入学が延びていた第二王子殿下がいらしたの!」
「あら。という事はご公務を終えられましたのね。」
「そのようですわね。」

ならば挨拶に伺わなくては…
同じクラスですしね。
クラスに入ると…

「あたしミリセントって言います!」

おお、早速近付こうとしてますわね…

「…君は確かドレイド男爵令嬢だったか。」
「はい!」
「悪いが、礼儀を弁えてから話しかけてくれ。」
「っ!?」

ぷっ…玉砕してやんの。
そもそも王太子殿下と第二王子殿下は自他共にお厳しい方とお聞きしている。
最低のマナーを見せないとね。

「第二王子殿下。」
「ん?君は…」
「お初にお目にかかります。クロノワール伯爵家第七子のレティシアと申します。」
「ああ、エデルドの妹か。」
「はい。殿下方には次兄を重宝してくださっている、と長兄より聞いております。」
「ああ。あれ程有能な人材もいない。そのエデルドが最も敵に回したくない、と言わしめたのが末の妹だそうだ。」

む。

「エディ兄様は何を殿下に垂れ流しているんですかね?」
「ふっ…中々お転婆でじゃじゃ馬だ、と二年前に聞いたかな。なんでも攻略の難しいアレスコ渓谷帯に単身赴いたとか?」

ああ、あれ。

「いえ?渓谷帯は近道でしたから通っただけですわ?」
「ん?近道?通っただけ?」
「ええ!サロンダン魔火山への近道でしたから!」
「「「「なっ…」」」」

あら、違った?

「一週間掛かるところ2日で行けましたけれど…」
「普通は、通る場所ではないが…何故そんな場所に?」
「フェニックスの出現情報がありまして!契約しに行っただけですのよ?魔火山も攻略自体は一日程度でしたし…」
「ふっ…ははははは!!」

おう!?

「確かにお転婆でじゃじゃ馬という感想になるな。もし妹がそんな事をすれば俺とてそう言うだろう。クロノワール嬢、冒険者として国中を回ったと聞いている。各地のダンジョンの話しを聞いてみたい。」
「え?ダンジョンの、ですか?それなら騎士団の方々にお聞きになればよろしいのでは?」
「そうすると外に出れん程の公務を用意されるからな。元々は俺も外遊として王都近辺のダンジョンには行った事はあるんだ。だが、俺が行きたいのは中級以上のダンジョンでな。」
「まぁ…お話しするくらいでしたら構いませんわ。また殿下の良いお時間にお誘いくださいませ。わたくし授業免除を許可されておりますから、図書室か温室、飼育場のどれかにはおりますわ。」
「そうか。ではまた宜しく頼む。」

終わったので、礼をして離れると。

「「「殿下!」」」
「ご挨拶申し上げます!!」

様子…というか男爵令嬢がでしゃばっていたから控えていた人たちが一斉に群がってきたわ。
まぁ馬鹿でも王族には取り入っておきたいわよねぇ。

「はっ!グリフォン達の餌やりに行きましょ!」

おやつの時間だわーっ
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