□異世界転生
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最初、何故自分が横たわっているのか疑問だった。
そしてその日に自分が転生した事を知り。
ここが地球では無い事を知った。

今世の私はレティシアという名前。
ここはアールスロームという国の王都ティアンシア。
その平民区画の家。
つまり平民である。
お父さんは商会に勤めている。
お母さんは城の針子。
ちなみに大家族である。
というのも、この国には幾つか平民への保証というものがあり、一つは王都含む「都市部」在住の平民は子供一人につき年間5万クルスの報奨金がもらえる。
5万クルスというとかなり大金である。
なんせ平民一人当たりの平均生活費は贅沢をしなければ大体5000クルスあれば事足りるからだ。
それが毎年一人につき5万クルスも貰えるのは凄い。
他にも、医療の無償化、教育の充実、やむを得ない不就労に対し補償がある。
凄いよね!
ただ、その分の税金も凄い。
まぁ税金の殆どは貴族などの給金、医者の給金、街などの整備に護衛分が含まれている。
税金も一律ではない。
所得によって金額は異なる。
所得の半分は納税される。
その為、子沢山で報奨金があれど、戦えない子供の税金は親が払わなくてはならない。
報奨金あっても結局は税金で出ていく。
とはいえ、ここまでされていたら不満などは少ないだろう。
国に対しては、ね。

まぁそんなバッチリな国の一平民に生まれた私。
姉四人兄四人の末っ子に生まれた。
末っ子は良く甘やかされると聞くが、全くもってそんな事はない。
成人は15歳だけど、平民の女はその頃から下級貴族に嫁ぎたくて、富裕層に嫁ぎたくて舞踏会に良く出るし、男も色んな職業に就けば当然昇進の為更に勉強なり鍛錬なりしなくてはならない。
一番上の兄は騎士、一番上の姉もお城で侍女。
それ以外の兄姉は実は特にこれと言った職に就いていないのだ。
報奨金は成人すれば終わる。
中々定職に就けない兄姉達の為にお父さん達も必死で働いている。
ちなみに一番上の兄と姉は既に家から独立しているので自分の事で精一杯だ。
家を購入すれば家賃は発生しないが、とてつもなく高いから。
まぁその分の家賃ナシなんだけどな。
先日めでたく、上の姉が成人を迎えた。
そう、一番下の姉とは15歳離れているのだ。
滅法世間に揉まれ厳しい一番上の兄と姉、ロクデナシの次男三男二女三女、それらを見て育ったわりとしっかりめの四男と四女。
そして産まれたばかりの五女、私だ。
成人して独立申請をすると家から出なくてはいけない。
だが楽して生きる事が好きなロクデナシ四人は家から出ない。
そして先日まではお姉ちゃん、そして成人したら私の報奨金をネコババしてやがる!!
お父さんもお母さんも独立申請しないもんだから必死だ。
独立申請しないと一家長が家族の分の税金を払わなくちゃならないし、払えなければ即座に奴隷に落ちるからだ。
そういう所の頭は回るんだね…
その現状を憂いた一番下の兄は一番上の兄に相談していたよう。
ちなみに平民が簡単に就ける職業は色々とあるが、お給金が良いのはやはり城務めだ。
一番下の兄は事務職で城に、一番下の姉も一番上の姉とお母さんの伝手でお城勤めしている。
まぁ給金高いからそこは良いんだけど…
まだまだお母さんは育休中なので家に居て、家でも出来る仕事をしている。
なんかの刺繍とからしい。
それでも給金が払われるんだから凄いよね。
で、何をどうしたのか。
独立してったお兄ちゃん達がやってきた。

「母さん!兄さん達を追い出す方法が見つかったよ!!」
「本当に!?」
「ばっうー」
「これでレティシアの報奨金もちゃんとレティシアが使えるよ!」
「一体どんな…」
「実はね、私王妃様の傍付きになれたの。」
「まあああ!」
「それで…王妃様がこの前のダンテのやらかしの時に様子がおかしいって気付いて下さって…相談したら、国王陛下や宰相閣下も案を巡らせて下さってね。」

なんと!!お姉ちゃんは出世頭というやつね!

「ちゃんと法律にあったんだよ!成人しても独立申請しない…努力をしないと判断された者は「親」の独断で強制独立申請が出来るんだ!ここ!先輩方も手伝ってくれて…宰相府の法律関係の本片っ端から探したんだ!これ用紙!申請には一家長のサインがいるから、父さんにも話さないと…」
「…、あなた達。このままお父さんの所に行って。税金分が足りなくてお父さん休み取らず泊まり込みまでして働いているのよ…」
「「なんですって!?」」
「…ごめんなさいねぇ…あなた達みたいに頭が良くて良い子が増えればと思っていたのに…」
「まぁ子供は考えて作らないとっていう教訓になったわね。」
「そうだな。」
「う…」

ちなみに一番上の兄レントは25歳です。
三女と三男は双子す。

「よぉレティ。ご機嫌いかがかな?」
「もう少し待ってなさいね。」
「だうー」
「俺らの苦労をレティにさせない。」
「勿論だし。」

と、バタバタと音がする。
これは二女アネッサの音だ。

「母さーん!」
「アネッサ…もう少し静かに入って来れないの?レティがびっくりするでしょ…」
「あ、ごめんごめん。あら、兄さん達来てたの?」
「ああ…」
「アネッサ…あなた何その格好…」
「んふふ!母さん聞いて!あたしようやく自分に向く仕事見つけられたのよ!」
「今度はなんなの…?」
「ふふーん!なんと!酒場の売り子兼踊り子よ!!」
「「「「「はあああああ!?」」」」」
「そういえば昔ダンス褒められたわって思い出してね!昨日働いてきたの!思ったより動けたわ!…これでようやく家から出れるわァ。あ、ちなみに冒険者登録もしてね。飽きたら踊り子として世界を回るわ!!」
「お前…」
「あのね…」
「んふふっこれ昨日のお給金で買ったのよぉー。レティにプレゼントよ!」

いや…赤ん坊に何故宝石のネックレス持ってくるんだよ。
まぁ綺麗だけど。
アネッサお姉ちゃんは黒髪でナイスバディ。
運動神経も悪くない。
あと高位貴族に友達がいるらしくてマナーは悪くないそうだ。
ちなみに六歳から教育の為の学院に通うのはこの国の基本。
卒業はまちまちである。
何故か?
そこは本人の学習精度らしい。

「ちょっと…こんな高そうなのなんで買えるのよ。」
「お給金自体いいのにお客さんのチップが凄いのよ。流石高級酒場のクラウス酒場よねぇー。踊り子するのは夜だけなの。お昼は給仕よ。」
「良く試験受かったね…」
「まぁ座学は悪く無かったものね…」

そういうのもあるんだねー。
お、これ結構いいルビーなんじゃない?

「だ、うー」
「…ん?レティ?」
『スキル鑑定を取得。』

お?なんだ?
鑑定?

『ルビーの首飾り・品質良』

あ、そう。
赤ん坊には不要の物だけどな。
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