□異世界転生
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「これで良し。…まぁプレゼントは…ないけど。」
「えー、無いの?」
「仕方ない。買いに行けなかった…」

不覚…

「まぁでも中身大人の記憶あるし今更子供用のおもちゃ持ってこられても困るかな。」
「でしょ?私も困ったしね。」
「…それにしても遅くない?幼等舎からここまで30分くらいだよね?」
「寄り道するなとメッセージはしておいたから寄り道はしないと思うけど…」

何よりくるみを向かわせたしね。
まぁ一応プレゼントは用意してあるけどねぇ…

バタバタと音がする。
ようやく帰ってきたかしら。

『にゃあ!!!』
「っ!…葵、サンルーフに行ってなさい。それと悠莉にいつでも緊急事態宣言出来るよう待機するよう伝えて。」
「っ!!うん!!」

あんなに切迫したくるみの声は初めてね。
何が起きてる?
勢いよくドアが開いて、拓馬とくるみが入ってきた。
それと…金髪の男の子?

「母さん!!ノアが変なやつに狙われてる!!」
「サンルーフに行ってなさい。」
「うん!こっち!」
「う、うん…」

通り過ぎるその時。

「っ!…今の…」

感じたソレは…

「はぁぁ!!」
「…目障りよ。」
「ぐあああああああ!!!」
「水華!?」
「晃、悪いんだけどこいつ連行しておいて。…雅美、隊長に連絡。うちの息子の友達が何者かに狙われてる。まだ来るわ。」
「了解。」

さて。
当事者は知ってるかしら?

「拓馬。」
「母さん!ノアが倒れちまった!!」

熱が出てるわね。

「…、珍しいわね。あんた達勝手に出てくるの。」
「わ、ちょうちょ?」
「幽玄蝶っていう精霊種族の魔物だよ。」
「…やっぱり。」
「やっぱり?」
「さっきすれ違った時精霊の力を感じたの。この子、覚醒しそうなのに無理やり封印されてる。だから熱が出るのね。」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫よ。…無理やり封印してるのも、この子を守ろうとしたものだから。」

母親かしら。
こんな事が出来るのは大精霊クラスね。
…人間と子供を作れるのも大精霊。
この子は恐らく大精霊と人間の子供ね。

「…」

随分気にかけてるわね。
…ふむ?

「…この子名前は?」
「ノア。」
「馬鹿、苗字の方よ。親に連絡しなきゃでしょ。」
「あっ!そうだった…綾崎だよ。綾崎ノア。」
「…綾崎?」
「ええと…第二部隊の小隊長してるって…」
「それは知ってる。…」
『おう、どうした?』
「暁人、思ったより早く再会出来るわよ。」
『あ?』
「今すぐ私の部屋に来て。この子の親にも連絡するから。」
『はいはい。』

さて、と。

ええと部隊用の連絡先っと。

『はい、綾崎です。』
「夜分に失礼するわ。第一部隊、第二小隊副隊長の霧澤よ。」
『おや。これはこれは。なんの御用です?』
「あなたの息子さん、何者かに追われていてね。今私の家で保護してるの。心当たりはあって?」
『…まぁ沢山あるね。』
「それはこの子が大精霊と人間の子供だから、かしら?」
『っ!!』
「え?」
「まぁ、何でもいいわ。とりあえず、迎えに来てもらわなくてはならないわ。ああ、途中ゴミを回収するととても助かるわね?移動後のあなたの仕事も半減するわよ。」
『…そのようだね。』
「では宜しくね。」

恐らく…これは転機だろう。
父さんの言葉を借りるなら「決められた因果律の定め」ね。

「うっ…と…さん…」
「ノア…」
「大丈夫よ。」

今世では何が起きるかしらね。
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