□異世界転生
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『…と、特務隊の活躍により…』
「…」

人生何が起きるか分からない。
例えば孤児院に捨てられたり、生まれながらに前世の記憶を持っていたり。

『良いか拓馬。イラついてもいい。怒ってもいい。挫折したっていい。けどな、人間ってのは壊れたら直せるもんだ。そこから真っ直ぐ持ち直せる術を学べ。そうすりゃ大抵の事は何とかなる。』
「…母さん…」

生まれ変わっても、また孤児院か。
俺って不運極まりないな。
まぁ前世じゃ孤児院から連れ出してくれた母さんがいてくれて、色んな人に囲まれて…
それでも恵まれていた。
色んな事を教えてくれた人がいる。
それがどれだけ有難いかは今も身に染みて分かっている。

「能力者…魔物…え、ここ日本だよな?」

ただ…今世は慣れるまでが大変だ。
まず電子機器や家電は前世よりも進んでいる。
「売ってる物は」だけどな。
孤児院に置いてあるのは記憶通り。
あれか?母さんが好きだった「転生したら異世界」ってやつ?

「うーーーーん…?」
「ああいたいた。拓馬くん。」
「?院長先生?」
「君を引き取りたいって方がいてね。手続き済んだから一緒に行ってね。」
「えっ!?」

普通は面通しとか面会数回あるもんだろ!?
相変わらずこのおっさん考えが甘いっつーかズボラだな!!

「凄いよぉ?なんたってあの…」
「…っ!!!?」
「…」
「特務隊の方なんだから!」

入ってきたその人。
いや、おかしいだろ?
だって、この人は…

「…ほら、行くよ。」
「っ、うんっ!」

昔より若いけど、母さんだ!
あれ?俺割と母さんとは離れてたんだけど…若くね?
あの時は電車だった。
手を引かれ来たのは駐車場。

「うっわ何この高級車。」
「今世では稼いでますんでなぁ。」
「っ!…母さんも前世の記憶ある人?」
「まーね。記憶あったり無かったりするけどな。今世は戦う世界だからある。…思ったより早く見つけられたよ。」

そう言って笑う母さんは前世となにも変わらなかった。

◇◇◇◇

「…」

また、繰り返す戦いの日々。
能力や魔力が宿る世界だと前世の記憶が残りがち。

『あの子は毎度孤児院から始まるよ。』
「…なら、迎えに行ってやらねばな。」

今世、霧澤水華は戦う人間だ。

「魔力ある世界だと金が稼ぎやすいな。うん。」

こうして始まった前世での「息子」探し。
孤児院という孤児院を片っ端から調べ…ようとしたら一発目で見つける。
見つける運命なんだろうか。
まぁ、交わった運命ならそれで良い。

「能力者…魔物…え、ここ日本だよな?」

なるほど。
前世の記憶があるなら話しは早いな。

「引き取りたい子供がいるの。書類、出してくれる?」
「はっはい!」

今世じゃいいポジションにまで上り詰めた。
子供一人くらいなんて事ない。

「母さん。」
『あら水華。どうしたの?』
「今から息子を迎え入れる。今度顔出すって父さんにも伝えててくれる?」
『あら、見つけたの?』
「まぁね。」
『ふふっそれは楽しみだわ!会いたかったのよぉ!』
「はいはい。じゃ、またね。」

しかし魔力があるだけでどうしてこうも文明に差が出るかなぁ…
書類を書き、提出はこっちで済ませる為付いてこさせた下っ端に投げる。
こういう事務仕事も勝手に出来る今の立場はとても良い。
そうして漸く顔合わせ。
まぁ連れていくんだけどね。

「っ!!!!?」

この子ホント驚き方変わらないわねぇ。
それに笑って。

「ほら、行くよ。」
「っ、うん!」

ああ、変わらないのってのは良いね。
話してみればやはり息子拓馬にも前世の記憶が残っていた。

「うっわ何この高級車…」
「今世は稼いでますんでなぁ。」

とりあえず。
こういう所はまだまだ子供だね。

「秋野、出して。」
「(自分で運転するんじゃないんだ!)」
「部下使いが荒くないッスか?矢北戻って来てないッスけど…」
「だから拾う為に車を回せと言ってるのよ。あと向かうのはココ。」
「はい?は?水華さん…ここ温泉街ッスけど?」
「どこぞのムッツリのせいで無駄に仕事が増えたのよ?申請出して許可貰ってるからこのまま有給よ。今日から四日は全員呼び出し無視よ無視!二週間も家に帰れてないのよ!慰労くらい許してもらわなきゃね!」
「マジっすか!流石ッス!!俺水華さんの部下で良かったッス…」
「それはどうも。さっさと車出して。拓馬の服やら買わなきゃなんだから。」
「へい…しかしなんでまた養子なんか…」
「それはお前に関係ない。」
「はい…すんません…」
「(母さんすげー態度でかー…)」
「前から行きたかったのよね、温泉街。今世一発目の思い出は温泉街!矢北にも通知切っとけって言っといてよ。」
「ウィーッス。(まぁ水華さんの性格じゃ恋人なんて出来ねえだろうけど…結婚ぶっ飛ばして普通養子迎えるか?)」

ん?
なんか変な事考えてないでしょうね?
ま、とりあえず休暇を楽しむ!
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