□一話
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「…」
『随分と暗い顔をしておいでですね。』
「…イズン。」
『あまりお気を落とさずに。皆、貴女の将来を考えればの事。』
「…分かってる…けど…」
『お気持ちは分かります。ですが、それもいずれ良い物となりますよ。…それにしても…』
「?」
『貴女の様に星影と魔女の力を持った人間など聞いたことも無いのが気になります。』
「どういう事?」
『星影も魔女もどちらも優れた一族。特に魔女は我等神族との交信出来る一族。その様な人間が産まれた時我等神族に示しがあるのです。ですがその様な人間は貴女以外に居ませんでした。』
「どういう事?」
『分かりかねます。ですが…もしかしたらこの日本に引かれた妙な結界のせいかもしれません。』
「…」
『まぁとにかく今は気に病む事はありません。それよりも、お支度があるのでしょう?』
「…うん。」
『今は、きちんと今を生きてゆく事を第一としなければ。』

そうして少女は部屋を出る。
だが、扉を開けた所でイズンと呼ばれた発光体を振り返る。

「…イズンは…皆はどうしてここにいるの?」
『もう私達の声を聴けるのが貴女だけだから、ですよ。』
「他にも魔女や魔法使いはいるのに?」
『ええ。貴女だけなん
です。』
「…そう…」

それだけを返し、少女は扉の向こうへと消えていった。

『そう、貴女だけがその資格を得たのです…本来は1つで在らねばならぬ星影と魔女…昔は星影は魔女の代名詞だったのに…いつの間にか二つに分たれてしまった…本来は星影の…御子なのに…』

悲しく言った後、イズンは消えていった。
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