内緒の時間
□異世界転生冬フェン
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地図を貰って、見てみる。
アラビスタは…
「砂漠だね。」
「砂漠ですわね!!」
「魔物はちと強くなるが夜動こう。その方がまだ涼しい…」
「同感です…」
それにしてもここは亜人も沢山いるんだね。
「この大陸は亜人種と人間が比較的友好関係にあります。亜人の国も多数存在していますし。」
「そうなんだ。」
「お前ら大丈夫か?レティシアは元々人間だし、俺も人間に転生させられてたから感覚は狂い無いんだが…」
「うっ」
「実は少し…」
やっぱりしんどいんだね。
「どこか休めそうな所探すか。」
人間の宿は取らない。
気を抜いて眠ってしまった時が怖いから。
特にシェザールとミシェルは船でも何度か寝てる間にフェンリルに戻ってたしね。
今は大きくなる魔術は使っていない。
あれも結構魔力喰うから物を動かさなきゃいけない時にしてる。
街を出て行ける所まで行って、皆で固まって眠る。
早く冬領域の自分のベッドで眠りたい。
◇◇◇◇
『恐らくレティシアとレイジならば東條を追うはずだ。』
「あ?なんで?」
『そうだぞ?』
『阿呆共。レイジもレティシアも東條の事を聞いておる。寧ろ奴が活動するこの大陸ならばそっちを先に見つける筈じゃ。我等とてその方が都合いいしの。それに、ショウレイ達の話しでは我々も迂回したあの山をこの大陸ならば越えねばならん。その時に勇者の力を使えば多少なりとも危険は減る。』
『だろうな。』
「わざわざ山を迂回してくれたジューダス様に感謝だな。ちょっと戦ってみたかった気もするけど…」
「そんな余裕ないじゃん!さっさと東條君もレイジ達も見つけないと!」
『咲希の言う通りぞ。魔力を返したとてレティシアはこちらではまだ赤ん坊と大差ない。元々霧澤水華としての記憶と知識とあの高すぎる魔力で持ってるようなもの…じゃから…ええい睨むな!!』
『その赤子を利用したのはお前だろうに…』
『わわわ分かっておるぅっ』
輝夜様弱いなぁ。
いや、戦いとかは強いよ?
対人が弱いってだけ。
あと天照様大好き。
今の三人はそれぞれの神の名を受け継いだだけで神話の三神とは別の人なんだって。
それに見てたら天照様も輝夜様大好きなんだよね。
好きな子程苛めたいってやつみたい。
レイジは好きな子程護りたい、かな。
自覚無いみたいだけど…
無事でいてね、レイジ、レティシア。
もっともっと、あたしは二人と仲良くなりたいよ。
時々虚ろな表情をしてた霧澤さん。
それを心配そうに見てたレイジ。
そんな二人を見てたから、あたしは二人が心配だよ。
ライバルも居そうな感じだしねー。
「お前ホント人くっつけたがるよな。」
「ふふふっ咲希ちゃんは恋のキューピットになるのが好きなんだよ!」
「そうか。…俺はそんなお前が…」
ん?
何か言った?
「別に?ほら、行こうぜ!」
「おう!」
「うん!」
さぁー、行っくぞー!
◇◇◇
休み休み進む。
とは言えフェンリルですから走ります。
「見えた。砂漠だ。」
「アラビスタはあっちの方ですね。」
砂漠の夜は快適です。
砂嵐が酷いけど。
「オアシスですわね。」
「仕方ねぇまだ夜は長いけどここで…っ!隠れろ!」
砂で作られた小さな家々の隙間に入り込む。
「どうだ?」
「それが…魔導船は売りに出されてたよ。恐らくあっちはもう…」
「だからジューンドーンが出る時期に冬領域に付けるのはやめとけっつったのによ。」
「だな。」
こいつら私達を攫った奴らの仲間だ!
「ま、俺らは安牌で行くぜ。」
「近くに勇者来てるらしいぜ?」
「勇者つってもまだ17の坊やだろ?」
東條君、近くにいるんだ…
と、騒がしくなる。
「まずい憲兵だ!」
「は!?」
「なんで…」
「今だ!!」
「「「っ!!」」」
いきなり現れた兵士っぽい人達と…
「おお、東條。すぐ見つかったな。」
「タカヒコ、終わったぜ。」
「いやー、流石に初めて来る所は困るなぁ…ありがとうクリス!」
「なんの。勇者としても後輩だ。まさかこっちで会えるとはな。」
「マジでビビったよなー。」
「それで…ん?…誰だ!」
お、お?
見つかった?
「流石勇者ってな。東條は気付いて無かったみたいだけどな。出るぜ。」
そだね。
「…子供?」
「…東雲、君…?」
「よぉ東條。こっちは子供の姿なんだが良く分かったな?」
「いやー…そっくりにも程がって東雲君!?」
「知り合い、か?」
「向こうでのクラスメイトだよ。」
「え?てことは…」
「残念ながら勇者じゃねぇよ。元々こっちで産まれて生きてたんだが魔王に魂を向こうに飛ばされて人間に転生しただけだ。」
「…魔狼族!?」
「助かったぜ。そいつら俺らを攫った奴の仲間でよ。」
「何。」
兵士装備以外の人は冒険者って感じだね。
それからどこか拠点にしてるらしい宿に案内された。