多重能力

□一
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『…君に新しい人生をあげるよ。新しい世界での、ね。』

そう言われ、気付いた時には、私はまた赤ん坊に戻っていた。
ここはリアナグーストと呼ばれる世界。
私の前世ではアニメだったりゲームだったりしたものが混じった世界。
例を上げるならとあるシリーズ。
私が産まれたのはここ。
だけど「原作」とは違う事も。
原作は1人一つの能力。
ここは違う。
素質があるなら幾らでも能力は持てる。
まぁ多重能力者は少ないけど。
ただ、その多重能力者は両親が能力者だと産まれやすいとどこかの研究者が言っていた。
私もそう。
学園都市で植物園の園長で研究者の自然の能力持ちの父と、念力やテレポートの空間能力者でとある女子中の先生やってる母の元に産まれた私は学園都市一の「能力数が多い生徒」となった。

二位は確か芸能関係で働く人の子供だって噂だけど。

「おや、水華ちゃん。今日も来たのかい?」
「お父さん。…だってお母さんたらもうずっとだもん。」
「ははっまぁお母さんは自分が働く所が自慢なんだよ。」
「だからって…私もう受験生だよ?そんな時期に転校なんてしたくないよ。それに。」
「それに?」
「常盤台は休日でも制服着用でしょ。私はオシャレし
たいもん。せめて学び舎の学校でって妥協してくれたんならもう良いと思うのよね。」
「まぁ常盤台は学び舎の園の一番手だからね。」
「翠鳳だって良いところだもん。緑多いし。それにあそこお嬢様ばっかでやだ。」
「まぁ…一番だし、ね?」

ここは父の植物園。
家もここ。
私は毎日ここから通ってる。
私の通う翠鳳中学は確かに学び舎の園にあり、常盤台に次いでの有名度。
だけど幅広く開かれた門戸と安めの学費、緑豊かな学舎はとても人気だ。
とりわけうちだけは才能ある人が多く、別に多重能力者でなくても、レベル0でも入れるし。
ちなみにうちだけは学び舎の園で唯一中学高校のエスカレーター式。
一番面積も広い。
能力の開発授業も、色んな才能にも対応出来る素晴らしい学校です。

「常盤台ねぇ。確かにレベル5の子には興味は尽きないけどさ。」
「あぁ、第三位の子だね。」
「超電磁砲ねぇ…別にレベル4の電撃能力なら誰でも撃てるしねぇ。」
「(それは水華ちゃんだけだよー)水華ちゃんはレベル5を目指さないのかい?」
「うん。」
「(えぇ!?)」
「なんでわざわざ変態研究者の餌にならにゃいかんのよ。」
「…反論はできないねぇ…」
「それに。」
「ん
?」
「…こう能力が多過ぎると伸ばすのに時間が掛かる。」
「すいません。」

まぁ、お父さんもお母さんも、さらに祖父母も多重能力者で全部受け継いじゃったんだよね。
お得なのか損なのか分かんないよ。
ちなみに皆学校の先生か研究者。
あ、お母さんのお兄さん…叔父さんだけどその人は警備員なんだよね。
いや、先生なのは変わりないんだけど。
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