多重能力
□一
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「来たか。」
「兄ちゃん…」
「一つ、良いかな。」
「なあに?」
「水晶の森の民は…」
「あぁ、余所者を襲うって?」
「っ!?」
「嘘聞かされたね。水晶の森にまず資格の無いものは入れないし、それから…あなたの仲間は無事に保護されてるよ。」
「何故そう言いきれる!?」
「だって出てくるときに言ったもん。私が帰るまでに森を抜けて来た者に保護をって。」
「え…?」
「話は後でね。」
少女は話を打ち切ると上を見上げた。
「ジジイ!!準備は良いな!?」
「うむ!!」
『!?お前達何をするつもりだ!!』
「フンッマルキュル!貴様我等水晶の森の民を甘く見ておるようだが甘いわ!!…二人とも、ワシにしがみつくのじゃ。」
「え!?」
「いいから早くせい。ここから逃げるぞい。」
パンっという音が響く。
と、地鳴りが聞こえ始める。
「泥人形…如きが我等の姫を止めれるものか…」
「え?」
「ひめ?」
老人が下を見れば、少女がニヤリと笑った。
「準備良いみたいだね。さてと、こんな場所は用は無いね。行くよ!!」
その言葉の後。
忽然と7人の姿が消える。
その瞬間、大きな音を立て、闘技場が突如崩壊した。