アイドル2

□SolidS里津花
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最近。
街でカッコイイお兄さんがいる。

初めまして、私霧澤水華です。
貧乏高校二年生です。

そんな私でも、服のお店には行きます。
といっても買う訳じゃないです。
買えるわけがない。

「…」
「あら水華ちゃん。」
「また来たのかー。」
「はい!そろそろ作らないとなので…」
「成長?」
「…2歳児は早く…」
「へぇ…」
「あ、これ可愛いなぁ…」
「そうだ。これなんかオススメなんだよ。夏でも着れるニットベスト。キャミ変えるだけで雰囲気ガラッと変わるから着回しヘビロテコーデで人気なんだよ。」
「ふむ…かぎ編みか…」
「それを作ろうとするのがすげぇよな…」

お金無いので。

と、こんな感じで色んなショップのお姉さんやお兄さんとはお知り合いです。

「…はぁ…」
「悩み?」
「まぁ高校生じゃあなー?」
「うち、高校は部活動必須なんですよね。」
「そういや、その制服私立のだよな?」
「うん…返さなくていい奨学金制度があったのここだけなんで。だけど部活動必須で。」
「バイト出来ない?」
「いえ、部活で作ったのは売ってるので雑貨位の小遣いはありますけど…

「強かだねぇ。」
「で?」
「今度の文化祭で作品発表があるんですけど…ドレス作れって言われて。流石にドレスは作った事ないからどうしようと。」
「ドレスにも種類あるだろ?」
「なんでもいいそうです。」
「なら…友達がカメラ屋やってるから行ってみな。…ほれ、これ持ってって。」

…都会のど真ん中ですと!?

「ここも都会だけどな。」
「ふふっ頑張っておいでー。」
「ありがとうございます!」

わーい!

◇◇◇

たまに見かける女の子。
いつも何も買わずに出ていくけど。

「…」
「お?お兄さんもまた来てくれたんですね!ありがとうございます。」
「ああ、いえ。メンズでこういうの置いてる所って少ないから。」
「まぁ今はナチュラル男子も増えてますからねー。」

ここの店員さんは無理矢理勧めるってないから好きだな。

「さっきの子もたまに来てますよね。」
「ああ、あの子は…ちょっと、ね。お金が無くてああやって服屋巡って服のデザインを見てるんですよ。んで、まだ小さい弟と妹に作ってやってるそうで…泣けるよな…」
「って涙脆い奴が絆されて招き入れちゃうんですよね
ー。」
「流行りの押さえ方とか皆吹き込んじゃうからそういうの上手くなっちゃって。」

へぇ。
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