IS〜銀の軌跡

□episode 1
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IS学園 1年1組 教室




「はぁ・・・」



織斑一夏は朝から盛大に溜め息をついていた



世界で唯一ISを操縦できる男として、IS学園に入学したはいいが、周りは女子ばかり・・・いや、この学園に男子は自分一人なのだ



わかってはいたがこれがかなりキツイ



当然クラス中・・・いや学園中の女子から好奇と、興味の視線を向けられるのだ




入学してまだ一日しか経っていないので慣れろといわれても無理があるもの



唯一の救いが幼馴染の篠ノ之箒が同じクラスだったことだろう




不意に一夏は教室の一角に視線をやる




(「どうしてあの席は空席のままなんだ?」)



一夏の視線の先には空席となった机が佇んでいた



席が用意されているということは、誰かがそこに座ることになるのだろう。だが昨日の入学初日から今日までその人物は姿を現していない




(「まあ、考えててもしかたないか・・・」)



チャイムが鳴り、HRの時間となる



教室の扉が開き、1年1組の担任であり、一夏の姉である織斑千冬と、副担任の山田真耶が入ってくる




「おはよう諸君。突然だが今日は転入生を紹介する」



「「「「「えええええっ!?」」」」」



千冬の言葉に、教室中の女子たちが声を上げる



「入れ」



千冬の言葉に教室の扉が開く。入ってきた人物を見て、教室中の女子が・・・いや、女子だけでなく一夏も思わず息を呑んだ



スラリとした無駄のない長身に、光に反射して輝く綺麗な銀髪。透き通った青紫の瞳、100人に聞けば、100人全てが美形と答えるだろう整った顔立ちの男



「転入生の皇 ライだ。非公式ではあるが、ISを操縦できる二人目の男としてこの学園に入学することとなった。皇はお前たちより二つ年上、普通なら三年に編入となるはずだが、事情が事情だけに一年で受け持つこととなった」



「本当ならみんなと一緒にこの学園に入学となる予定だったんですけど、諸事情により、一日遅れての転入という形になりました。では皇君、自己紹介を」



山田先生の言葉に一歩前に出るライ



「皇 ライです。先ほど紹介されたように、ISを操縦できる二人目の男性としてこちらに転入することとなりました。こんな容姿ですがハーフ、半分は日本人です。年は皆さんよりは上ですが、気にせず気軽に話しかけてください」



「「「「「・・・・・・・・」」」」」



教室中が沈黙に包まれるが




「「「「「「きゃあああああああああああああああああああああっ!」」」」」」




一転して女子生徒の歓声が響き渡る



「男子! 二人目の男子!」



「しかも美形!それも超がつくほどの美形!!」



「年上・・・同年代にはない大人の魅力が・・・」



「お兄様って呼びたい!」



女子生徒の反応に困ったように苦笑いするライ




(カオスだな)



(そうだね)



C.C.がこの光景を見て、呆れたように言う



(ライ・・・)


(ん?何だいC.C.)


(この女誑しが・・・)


(どういうことだ?)



「静かにしろ!」



千冬の一喝で静まり返る女子たち



「お前の席はあそこの空いている席だ」



千冬は空席となっている席を指さす



ライは頷き席に向けて歩き出す。女子生徒から視線が集中するが、まったく動じる様子もなく、表情一つ変えずに席につくライ




「では授業を始める」


























授業終了後の休み時間



「皇さん・・・だよな」



黒髪の男子がライに話しかけてきた



「あの・・・えっと、俺は・・・」



「織斑一夏。知ってるよ。有名人だからね君は。それと、さっきも言ったけど年上だからって気を使う必要はない、ライでいいよ」



「そっか、俺も一夏でいい。よろしくな」



差し出された手を握り返すライ。そんな二人を見ていた女子生徒たちが、甘い溜め息やら何やら危ない発言をしていた



「それにしてもライは凄いな」



「何がだい?」



「これだけの女子囲まれてるのに、平然としてられるからさ。俺なんか今だに女子たちの視線にびくついてるのに」



「そんなことはないよ。これでも少しは緊張しているさ」



相変わら涼しげな表情で言うライに、思わずどこがだよ、言いそうになる一夏
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