IS〜銀の軌跡

□episode 6
4ページ/5ページ

「先生!わたくしにIS使用許可を!すぐに出撃できますわ!」



千冬に出撃許可を求めるセシリアだが



「そうしたいところだが、―――これを見ろ」



「遮断シールドがレベル4に設定・・・?しかも、扉がすべてロックされて―――あのISの仕業ですの!?」



「そのようだ。
これでは避難することも救援に向かうこともできないな」



端末に表示されたアリーナのステータスチェックは最悪の状況



「で、でしたら!緊急事態として政府に助成を―――」



「やっている。
現在も三年の精鋭がシステムクラックを実行中だ。
遮断シールドを解除できれば、すぐに部隊を突入させる」



一層苛立ちを募らせる千冬



「結局、待っていることしかできないのですね・・・」



「いや、そうでもないさ」



「「「「え・・・?」」」」



全員が声をあげ、視線をライに向ける



当のライは、クラブのコアネットワークを展開し、オープンチャンネルを開いていた




「二人とも、聞こえているか?」




『なっ!ラ、ライ!!』



『こんな時に何!?』




オープンチャンネルで通信を繋いだのは、現在謎のISと戦闘中の一夏と鈴



状況が状況だけに聞こえてくる声からは苛立ちが見て取れる



「手短に状況を説明する。
遮断シールドを解除するまでに時間がかかる。
それまで避難も、救援も向かえない」



『言われなくてもわかってるわよ!そんなことを言うためにわざわざ?』



「いや、本題はこれからだ。
単刀直入に言う。そのISに人は乗っていない」



「「「「『『・・・は?』』」」」」



一夏と鈴だけでなく、千冬たちも思わず声をあげてしまう



「ようするに無人機だ」



『ちょっ!待ってくれ!どういうことだよ!?』



『そうよ!人が乗らなきゃISは動かない。
それに、無人機だって言う根拠はどこに・・・』



「根拠ならあるさ」



言うと同時にクラブのコアネットワークを通してデータが送られてくる



「奴の動作にはまったくブレがない。
いくらISといえど搭乗しているのが人間である以上、同じ行動をとる際に、反応速度や行動に若干の遅れやズレが生じるはずだ。ところが・・・」



「っ!山田先生!!」



「はい!!」



千冬に促され、端末を操作して謎のISの行動を分析し始める山田先生




「奴の場合、攻撃への反応から回避行動、旋回半径、スラスターによる移動の距離とタイミング、ビームの発砲間隔、ありとあらゆる行動が、0.1秒以下、0.1ミリ以下といった具合に、ほぼズレがない。
これは人間にできる芸当ではない。
あらかじめコンピュータによってプログラムされた行動だ」



送られてきたデータに目を通す一夏と鈴。
そのデータは今しがたライが言った言葉を決定づけるに充分なものだった



絶句したような表情になる一夏と鈴。
箒とセシリア、山田先生も同様の表情をしている



表情にこそ出さないものの千冬も内心ではかなり驚いているようすだ




「そして奴の行動には特定のパターンが存在する。
その解析も終了した。
こちらから指示を出す。動けるか?」



『ああ、任せろ』



何の躊躇いも見せず頷く一夏



鈴は少し迷っている。
無理もない、これは実戦。命を落とす危険すらある。
故にライの言葉を信じていいのか



だが、自分とは違い何の躊躇いも見せない一夏を見て、鈴も意を決した



『オーケー。こうなったらあたしらの命、あんたに預けるわ。
それで、何をすればいいの?』



「二人とも距離をとれ!」



言われるままに謎のISから離れ距離をとる一夏と鈴




「その全身に装備されたスラスターの機動力と左右、計四門のビーム砲の威力は厄介・・・だが!
奴の初撃は必ず正面から。
フェイントや側面、背後を狙うことはない」




ライの言葉通りに、謎のISは真っ直ぐ二人に突進しながらビームを放つ




一夏と鈴は左右に散開してビームをかわす



「回避された場合、急旋回してこちらを視界に捉えつつ、反撃に備え後方へと距離をとる!
ポイント、S−5−7。
鈴!衝撃砲の準備を」



『う、うん』



ライの指定した座標に衝撃砲を展開する鈴。
その直後



『ホントに来た!!』



指定されたポイントに、無防備にも背を向ける形で謎のISが飛び込んできたのだ
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ