novel

□星屑の君へ
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そんな考え事をしていると、校門のところで誰かの肩にぶつかった。

「わっ!すみませ…ぁ…」

「?」

謝られてハッと顔を上げる。
見慣れた顔があった。

「天宮くん!ごめんね、ぼーっとしてて…」

「大丈夫。僕もだし。ごめん」

ピンクのカーディガンに身を包んだ彼女の名は岳羽ゆかり。
彼女も自分らと同じペルソナ使いだ。
自分や順平と同じクラスで、学園内でも人気のある、弓道部に所属する、明るく活発な少女だ。

いいの、いいの!と岳羽は首をふる。

「もう帰るの?」

「いや、ちょっと寄ってくとこあるから…帰る時間は順平に言って…ある」

ないけど。

「そうなんだ、気をつけてねー!」

手を降りながら、彼女は校舎の方に走って行った。
おそらく部活だろう。
自分も、彼女に向かって小さく手を降った。

モノレールで辰巳ポートアイランドから巌戸台へ向かう。

行き着いた場所は多くの娯楽施設や商店が建ち並ぶ、ポロニアンモールだった。
自分たちはいつもここで武器やアイテムなどの買い出しを行っており、今日も少しそれぞれの店に顔をだし、武器の新調などをする。
一応、念のため。だったのである。

しかし、まぁ時間が流れるのは早いもので、すっかり日が落ちるどころか、夕飯の時刻をとっくに過ぎていた。

「…(…ご飯が…)」

ちょっと絶望的だったが、もともと空腹をあまり感じない体質なので(食べるときは腹ペコキャラじゃすまないくらい食べる)、今日は諦めることにした。

溜め息をついてから、本来の目的の場所へと向かう。

それはどこの店でもない、薄暗い裏路地…

その一番奥に、一般人には見えない青く光る扉があった。

ドアノブに手をかけ、捻る。

ギィ…という音のあと、青い部屋の中へ足を踏み入れた。
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