novel

□星屑の君へ 2
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2.紅き星もまた...



月光館学園 高等部 2-F


「ふゎぁ…やっと放課後かぁ…」

「んーっ」と伸びをする。
そろそろ教室を出ようと思い席を立つと、一人の少女が近づいてきた。

「あ、アイギス」

「お帰りでありますか」

そう言ってきた少女は、金髪青眼の乙女、アイギス。

実は彼女は、桐条グループが開発した対シャドウ兵器…分かりやすく言うと、シャドウを倒すために造られたロボットなのだ。

その事実を知るのは、おそらく桐条グループとS.E.E.Sぐらいだろう。

学校では冬の制服を着用し、メカメカした部分をなるべく隠すようにしている。

「うん、そうだよ。どうしたの?」

「お供するであります。私にとって一番大切なことは、貴女の側にいることでありますから」

彼女は出会った時からこんな感じだ。
「貴女の側にいることが私の大事」と言って、なかなか離してくれない。

「ごめんねアイギス…今日は大事な用事があるの」

「それでは、私もそれにお供するであり「あーはいはい」…??」

アイギスの言葉に口を挟んだ人物の方を見た。

「ゆかり!部活は?」

「今日は定休日なんだ。アイギス、あんまり紅音に無理いっちゃダメだよ」

ゆかりが人指し指をたてて見せると、アイギスはキョトンとする。

「無理、でありましたか。しかし、それでは私の大事な役目が果たせないのであります…」

だんだんと表情が曇っていった…

心配させないように、持ち前の明るい声でアイギスをなだめる。

「大丈夫だよアイギス!心配しないで。私がとっても強いことは、貴女もよく知っているでしょ?」

言うと、アイギスは首を縦に振った。
そして、ゆかりに「用事があって何時に帰れるかわからないからとりあえずタルタロスは無し!」と元気よく告げ、教室を後にした。


天宮 紅音(アマミヤ アカネ)…それが私の名前。
月光館学園高等部 2-Fに、今年の春、転入してきた。港区巌戸台学生寮に来るときにまぁ色々あって以下略。
そのあと直ぐにシャドウに襲われたけど私のペルソナが覚醒して撃退に成功。
力を見込まれて活動部のリーダーに任命されて、私と先輩を中心に(?)タルタロスの散策を行ってる。

何だか合計12体の大型シャドウを倒せば落着するという話で、次で12体目。
よくよく考えたら、結構日にちがない…


ついでにポロニアンモールで買い出しでもしようかな、と思っていると、昇降口でばったり自分の先輩に会った。


「真田先輩!!」

「天宮?」


私の目線の先に、白銀の髪と赤いベスト、それと額に貼ってある絆創膏が特徴の、背の高い男子生徒がいた。


彼は三年生の先輩で、ボクシング部の主将の真田明彦。
基本的に凄くモテる人で、ボクシングの腕も並みのものじゃない。

因みに同じ学生寮、つまり彼もペルソナ使いで活動部の仲間だ。

靴を履いて外に出て、歩きながら話をする。

「天宮」

「何ですか?」

「その…今日は、空いてるか…?」


ちゃっかり攻略中だったりするのだ。


「一応用事がありますけど、多少なら大丈夫ですよ」

「本当か?悪いな…」

「いえ、お気になさらず!」

そう言って、ちらと校舎の方を見た。

「…そういう先輩は、大丈夫何ですか?」

「?何がだ?」

先輩も校舎の方を向く。

沢山の女子生徒が、こちらを見ながら、女子ならではの黄色い声…

「真田センパーイ一緒に帰りましょうよー」

「真田センパイその子おんなじ寮の子ですよねどういう関係なんですかー」

というかどす黒い声を発していた。

幸い私は魅力ステータスがMAXだったから、文句いってくる女子はいなかったけれど、それでも先輩は心配そうに私を見ていた。

「…すまんな…」

「いえ全然!」

大丈夫ですよむしろ嬉しいです、と意味深な言葉と共に首を横にふる。
動揺する先輩。

「あ、天宮、今のは…」

「じゃあ行きましょうか先輩?」

真田先輩の返事も聞かずに手をとって校門をでる。

後ろから女子生徒達の悲鳴が聞こえたのは、言うまでもなかった。

その声の影響ではないだろうが、胸騒ぎがして立ち止まる。

先輩に「どうした?」と聞かれたけれど、笑って誤魔化した。



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