Asa Em Colapso:YooSic
□硝子の鎖
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窓から少し見える木々は青葉を茂らせ、どこで鳴いているか解らないけれど虫が季節が着実に移ろっていることを告げている。
時間が経てば経つほど、季節が移ろっていけばいくほどに残された『時間』が少なくなっていく。
部屋の窓の金具をスライドさせて少し開けたところから夜の静かで少し涼しい空気が入ってくる。
感じるのは最初の開けた瞬間だけであとはまたこもったような暑さが徐々にくる。
『オンニ……私、シカオンニが好きです。
愛しています。だから………私にシカオンニを幸せにするチャンスを下さい。』
ユナはそう言った。
そこから全て始まった。
ベッドに腰掛けて眠っているユナの髪を撫でた。
眠っているユナを見ていると何も前と変わらず、起きたらいつも通りの笑顔で手を広げてきそう。
布団から出ている右腕にそっと触れた。
元から細い腕がまた細くなった。
指も少し痩せたみたいで、薬指にはめていたプレゼントのリングは中指にはめている。
触れた私の右手の薬指に同じリングがある。
『エンゲージリングだね!オンニはもう他のリング付けれないし貰えないよ?
ユナさんがリザーブしたからね!ひひひっ!』
心配しなくても、あなたから以外のリングは恋人になった日から付けないようにしてるの。
あなたはしていいと言うかもしれない。
でも、私がそうしたいの。