Asa Em Colapso:YooSic

□硝子の鎖
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私は一度大きく引き裂かれた心があてもなくさまよい行き場をなくし、暗闇に手を伸ばす様にどうにもならない不安と絶望に押し潰されそうだった。

初めて会った頃は練習生で、練習生用のダンストレーニング室の隅で床に穴を空けるんじゃないだろうかというくらい屈んで床をほじくっていた。
まだ幼いのに整った容姿に、長い手足。
とても際立った容姿なのに端の方にいつもいた。
私の妹によく似ていて、笑うと口を大きく開けてなぜだか大きく開いた口ではなく顔を抑えてしまう奇妙な癖があった。

ユナは真面目で、そして可愛い後輩だった。
少女時代に決まるまでは2グループに分かれて人数も多かった。
最初は幼かったユナは成長し、声も少しだけ低くなり身長も伸びた。
悪戯好きでまだまだ子どもだけど、段々と冷静さや仕事への判断力がついていった。

あの頃から何年経つんだろう。
手の中にある幼い私とユナの写真を見ながら思った。

あなたがここまで特別で、かけがえのない存在になるなんてこの頃は考えもしなかった。
ただ、デビューに向かいながら一緒に練習に励み、下らない話や真剣な話をした。
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