Asa Em Colapso:YooSic

□陰る太陽
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ペリペリと無機質なマジックテープの音を聞きながら服に袖を通すと冷たい服の温度が気持ち良く、まだ少しまどろんでいる意識が徐々に覚醒されていく。
姿見に写る自分は足が細くなり、髪が黒くなり、洋画のヒーロー物の様な特殊な器具を付けてこちらを見つめている。

しばらくまばたきをする自分とにらめっこをしながら時折、階下から聞こえてくる動作音や話し声を耳から聞いていた。
何を話しているかは解らないし、そういうことは重要ではなかった、ただ誰かが何かをしているという情報を耳から得ているだけ。

ワンピースを着た時はかわいいネイルでもしたいが、私にはもはやそんな重労働は難しい。
今度、テヨンオンニかティパニオンニにして貰おうかな。

椅子に座ったままそんな事を考えていた。
今では立ったまま着替えをする事も難しい。
椅子に座り、鏡に向かい合うとまるで前衛的な演劇をしているかの様な光景も私の『日常』となった。

『日常』は変化をし、『非日常的』なものが自然に普通になっていく。
考える時間が増えてからは生活や物事に対して思考する時間が大半を占めていった。

考えてどうかなるものではないが、考えるという作業が私の準備する期間の重要な事柄の一つで、ともすればバラバラになってしまう不安定な気持ちを支えている。
だから日々、考え何かしらを導いていく。
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