赤い星と青い月

□Fly Me to the Moon
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チクタクチクタク、針の音が部屋に響く。

私はその静かな部屋の中でにやつきながらもとある乙女ゲームに夢中になっているところである。

それはもう、こんな顔友達に見られたら絶対にキモいと一蹴されそうだというくらいにはにやついている。


「……あれ、」


なんか、ヒロくんめっちゃ可愛い。
なにこれ、なにこれ。


「ヒロくん可愛い!!このゲームのヒロインってヒロくんだったっけ…!!アキラ教官がヒーローだよ!」


ああ、そうか!
ヒロインなだけにヒロくんなのか!!そうなのか!


「アンタうるさい!!今何時だと思ってんの!もう!!」

「まだ夜だよお母さん」

「まだ、じゃなくて、もう夜なの!10時よ10時!!分かってんの?!」

「あー、分かってるよー、もう。そんな怒ってると腰に響くよ?」

「そんなんで響く訳ないでしょ!いい加減寝なさいよ!!」

「はぁい」


ヒロくんの可愛さに悶えてるとお母さんが部屋に乗り込んできた。
はいとは言ったけど、いい加減だから今すぐには寝ないけどね。

はああ…ヒロくんred最後にとっといて良かった……。
好きなもの残す派で本当に良かった…ここが天国か…そうか…。


「ふああ……」


ヤバい。
なんか眠くなってきた……さっき寝ないって言ったばっかりなのに……。
いや、言ってはないけど…眠い。

イヤだ、まだ、まだヒロくんをクリアしてないのに……。あともうちょっと…せめてギプソン登場までいきたいよ……。


「あああ、ヒロくんが、ヒロくんが霞んで……」


ごめんねヒロくん。私は睡魔に負けます。おやすみなさい。

ゲーム画面でピンク色の瞳をしたヒロくんが怪しい微笑みを浮かべておやすみと言っているような気がした。
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