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□伝えたい気持ち
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貴方から向けられた視線が恥ずかしくて思わず目を逸らした。

貴方に「好き」と口パクで
伝えられずに……――




茜色に輝く綺麗な太陽と
橙色に染まった夕空。

私は橙色の空の下、
いつものように女子マネ
希望と偽りテニス部専用
練習所に入り見学場所で
一方的に好きな人の背中
を見つめている。

まぁ、
ほとんどの女の子達は

「きゃー
白石くん頑張ってぇー」

とか

「謙也くん
タオル受け取ってぇ」

とか

「千歳くん応援してるよぉ」

とか、まぁ格好いい三人
目当てで来ているわけで
正直その黄色い歓声に
苛ついていたりするけど
私は白石くんに謙也くん
千歳くん目当てに来てる
わけでもないので黄色い
歓声は聞こえない振り。

「…はぁ、早くこっちを
向いてくれないかな…」

静かに溜息を吐きただ
好きな人が私の視線に
気付いてくれるのを待つ。

…こんなんじゃいつまで
経っても報われないのは
分かってる。

でも本人目の前にして
気持ちを言葉に変えて
伝えるのが出来ないから
貴方の姿を目で追い遠く
から見てることしか方法
がなくて…

だから今もこうして遠い
場所から静かに貴方を
見つめている。

心の中では貴方に気付いてほしいがために…



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