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□境界線 ―前編―
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そこにあるひとつの線。

越えようと思えば
いつでも越えられる。

だけどその線はなかなか
越えられない。

だってその線は私達の
間に引かれているから…


―境界線― (前編)


パコーン、パコーン…

今日も相も変わらず
テニスコートにボールを
打ち合う音が響き渡る。

私はそれを見ているだけ。

別にマネージャーとかを
やっているわけではない。

「こんなところで
何をやっているんだい?」

「……っ!!」

突然
後ろから声を掛けられ
吃驚する。

「ふふっ、別にそんなに
驚かなくてもいいんじゃ
ない?」

「…あ、幸村くん」

声がした方を向けばそこ
にはテニス部部長の幸村
くんが立っていた。

「で?聞き方を変えるけど
こんな所でいったい誰を
見ているんだい?」

「それは…えーと…」

幸村くんに問われ私は
テニスコートで練習を
している銀色の髪をした
彼を見る。

「ああなるほど。君は
仁王を見ていたんだね」

「…っ、なんで…!!」

ふふっ、と柔らかく笑う
幸村くんに彼の名前を言
われ思わず顔が赤くなる。



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