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□第八話
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「ん……。」
重い瞼をゆっくりと持ち上げる。
どうやら、夢を見ていたようだ。
皆との懐かしいあの日の夢を。
体を持ち上げ、あたりを見回すと、そこは自分の部屋だった。
俺、いつ寝たんだっけ……?
寝る前のことを思い出そうとするも、なかなか出てこない。
まぁ、きっと疲れててそのまま寝ちゃったんだろうな。
ベットのわきの時計を見ると朝の七時を指していた。
下の階からは母さんが台所で朝ごはんを作る音がした。
そういえば、ものすごくお腹が空いてる……
俺はベットを抜け出し、そのまま部屋を出た。
下から香る朝食の匂いにつられて一階に下りる。
リビングに入ると案の定、母さんが朝ごはんを作り終え、テーブルに並べているところだった。
「あら?夏休みなのに起きるの早いわね?」
「まぁね……。」
俺は目の覚めない頭を押さえてテーブルについた。
テーブルにはすでに父さんが腰かけており、リモコンを持ってテレビを回していた。
「最近は何も面白いのやってないなぁ……。」
特にすることもなく、ボーっとする頭で朝食をつつきながらテレビの変わる様子を眺めていた。
その時、一瞬見えた映像に頭が反応する。
「ちょ、ちょっと父さん、さっきのチャンネルに戻して。」
「さっきの?どれかな……」
そう言いながら、父さんはリプレイするように今までのチャンネルを辿って行く。
「どれだ、颯太?」
「ちょっと待って……あ、これだ!!」
その声と共にリプレイは止まる。
それは、とあるニュース番組であった
「なんだこれ?お前が通っていた学校じゃないか?」
父さんの声を聞くよりも早く、俺は玄関に置いてある上着を羽織って家を飛び出した。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘ぁ
何回も何回もその言葉を呟きながらかつて通いなれた道を全速力で走る。
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