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□第五話
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「みどりーッ」
先ほどから探しているが、物音一つしない。
「みどりィ!!どこにいるんだ!!いるなら返事を返してくれ!!」
不気味なくらい静寂であった。
自分の足音と声しかしない。
一人だけ違う空間にいるみたいだった。
そろそろ、廊下の端だな……
確かに碧の悲鳴はこっちから聞こえた
あの悲鳴だと違う階ということはないだろう。
その後も暫く探し続けたが、とうとう碧を見つけないまま廊下の端まで来てしまった。
どういうことなんだ?
確かにこの階のこの方向から碧の悲鳴が聞こえたのに……
取り敢えず、戻りは教室を一つずつ確認しながら戻るか
振り返って、戻ろうと廊下の方に足を向けたその時
――カーズキクン
――みーつけた
何かがそこにいた
奈々の言葉が頭をよぎる
血まみれの女の子が
血まみれ
そんなレベルではない
体中赤
真っ赤なそれでいて汚い赤が廊下に不規則にポツン、ポツンと垂れる
彼女が立っているそこにはすでに、真っ赤な水たまりが出来ていた
長い髪で顔が見えない
白であったであろうワンピースは赤に染まる
小さな華奢な女の子がそこに立っていた
とても、生きているとは思えない
――カーズキクン
――イッショ、ズットイッショ
いつの間にか息が荒くなっている
目の前の耐えがたい存在に、脳が全く働かない
ただ、
逃げろ
その信号を送るのみだった
「た、たすけて……」
――カズキクン……
女の子は一歩ずつ二人の距離を詰める
一歩
一歩
一歩
「や、めろ……来るな……」
一歩
一歩
一歩
「く、来るなぁぁぁああああああああああッ」
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