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□酒酔い
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*熊田
「くまだひゃんはやはりばかなんでひゅねー……」
「ぐぶふぅっ!!?」
夜のバーカウンター。
今回は珍しく成瀬の方から、俺を誘って来て……。
内心喜びながら酒を進め、やっとこいつが酔い始めたかと思ったら、このセリフだ。
……ケンカ売ってるだろ。
いや。呂律が回ってないから、ただ可愛いだけだが。
「あやひゃはどんかんひゅぎましゅ……。ひょんなんで、ひごとがつとまりゅんでひゅか……。」
「はぁ?何て?」
「これぐりゃいわかってくだひゃいよ……。」
おめぇの滑舌が悪いのがいけない。
何言ってんだか全く分からねぇし。
「くまだひゃぁ……。」
「っとぅ!?」
ゆっくりと、成瀬の身体が俺の方に倒れてきた。
普段なら絶対にありえないシチュエーションに、思わず変な声が出る。
ほんとばかみてぇな声だな(笑)
……自分で言ってテンション下がったわ。
「……おい成瀬、起きろよ。」
「ばーーか。」
「!?」
おいおいおいおいおいまてまてまて。
かなり衝撃的な発言聞いちゃったよ俺。
あの成瀬が。
あの天使の、しかも弁護士が。
『ばーーか』だとっ!?
さっきまでの『ばか』単体とは話がちげぇ。
伸ばし棒が付い(以下略)
「お前、明日も早いんだろ?帰るぞ。」
「ん……。…やでひゅ……。」
「〜ったく、やじゃねぇだ……っ!」
説得しようと顔を覗き込むと。
酒のせいで頬が上気して、目が潤み……。
「くまだひゃん……?…」
「ッ……。」
おまけに上目遣いのこいつと目が合っちまった。
「どうひたんでしゅ……。」
急に何も言わなくなった俺を不信がって……。
あろう事か、頭を猫の様にすりつけて来やがった。
こんなコンボ技に、俺の理性は勝てるはずもなく。
「……成瀬。後は、俺ん家で飲もうぜ?愚痴も聞いてやっから。」
「え……ここの方がおいひ」
「うっせぇここは高ぇんだよ。おらさっさと行くぞ。」
「あ、わ、ちょ……!」
マスターに代金を払い、縺れそうになる成瀬を引っ張り店を出る。
くく…
楽しみはこれからだな……。
→後書→