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□×*TEST*×
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*成瀬
……
……裁判の後。
僕は……一人暗いトンネルを歩いていた。
頭の中では、次の段階への計画を確認しながら……。
ふと、背後に人の気配を感じとった。
「お前か。天使の弁護士なんてぬかしてんのは。」
明らかな怒りを含ませた……男性の声。
振り返ると、見慣れない人物が歩み寄ってきていた。
ジャケットのボタンを留めず、シャツは少々よれている。
……いかにも……こう言うのは失礼だが……粗暴者のような。
そんな印象の人。
「息子だ。殺された熊田の。……お前、俺の親父が人殺そうとしたなんて本気で言ってんのか?」
ああ……そういうことか。
だが。だからと言って僕が彼に謝らなければならない義理もない。
こちらは、弁護士として当然の行動をしただけだ。
そう……真実を証明しただけ。
僕は目の前の人物に、形式上の弁解をし、上辺だけの言葉を連ねた。
相手の神経を逆なでする事だとは思っていたが……。
堪忍袋の緒が切れたらしい彼は、僕の胸倉を掴み、勢いよく壁に叩きつける。
こうなる事も予想していた。
……無表情のまま……相手の目を見つめる。
彼の目には、怒り……憎しみ、悔しさが見て取れた。
しかし。そんな事は……僕には関係ない。
いや……この人物の存在自体、僕には関係ない。
復讐を…阻まれさえしなければ……。
「…見ていてください……。…真実は、一つしかないのですから」