進撃の巨人 短編
□素直になれない人たちの不思議な出来事〜後編〜
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ーーーーガチャ
「ジャン!!それに名無しさん!!」
「よかった!二人とも大丈夫ですか?」
扉を開けると皆が居た
皆俺たちのところへ駆け寄り心配してくれた。そして無事だと分かると安堵の表情を浮かべた
「ああ...こんなに濡れちゃって...」
クリスタがタオルを持ってきた。俺はそれを受け取り髪を拭いていた
一方名無しさんはユミルなどの女子に拭いてもらっていた
「お風呂に入ったほうがいいんじゃないの?」
マルコが俺を見て言った
確かに服とか濡れてるし、風呂入った方がいいか....
「ああ、そうだな」
「じゃあついでに名無しさんを入れてくださいよ」
「はぁ!?///」
サシャがいきなりそんな事を言ったので俺は思わず顔を赤くした
な、な、なんで一緒に....!?
「さっきの雷で、女子風呂が壊れた」
俺の心を察したのか、ミカサが訳を説明する
「それに名無しさんも一緒に入りたがってますし」
クリスタが名無しさんの頭を拭きながら言う、その彼女は.....
「おふろ♪おふろ♪ジャンとおふろ〜♪」
............とても楽しそうだ
「仕方ねぇな.......」
「ジャン...........ロリに目覚めるなよ」
「当たり前だろ!!!!?」
...もし元に戻ったとき殴られるだろうな
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「はぁ....」
脱衣所で濡れたワイシャツのボタンをはずしながら、俺はため息をつく
.....どうしてこんな事に
いくら小さくなったとはいえ、つい昨日まで同じ屋根の下で暮らしている年頃の好きな女だぞ!?
マズくないのか!?
仮に風呂で元の姿に戻ったら......
「.....//////」
.....ッ!?
な、何を考えているんだ俺は!?//
「ジャンぬいだー!!」
「ブフォ!?///」
すっぽんぽんのミニ名無しさんが笑顔を向けてくる
....正直(小さいけど)女の体を見るのは初めてだ....
いや、あったらおかしいけどな!?
「お、おう...ちょっと待ってろ....」
俺は少し恥ずかしいが残りの服を全部脱ぎ、腰にタオルを巻く
「んじゃ行くぞ」
「うん!!」
ガラッと風呂場のドアを開ける
すると名無しさんは「ひろいー!」と言いながらお風呂場を駆ける
「おい、危ねぇぞー」
「えへへ、はーい♪」
俺が注意すると名無しさんは舌を出して笑い、俺の所へ来た
....ったく可愛いなチクショウ....//
「シャワーぐらい自分で浴びれるだろ」
「えー...」
俺がそう言うと、名無しさんはほっぺをプクッと膨らました
......本当に可愛いなチクショウ....//
「はぁ...仕方ねぇな...、ほら、座れ。背中流してやるからさ」
「わーい!!ジャンだいすきー!!」
また抱きついてくる.....って今お互い裸なんだから!?//
「おい名無しさん.....あまり軽々しく好きって言っちゃだめだぞ...」
俺はため息をつきながらそう言う
今は小さいから好きって思っているだけで、本当の名無しさんは俺のことは好きではないのだから
昨日は酷いことを言って終わってしまった...
俺は早く名無しさんに謝りたい...
すぐ目の前にいるのに、言えないなんて....
「その好きは本当に好きな人に言うんだ、わかったか?」
「...........すきだもん」
目の前の名無しさんは俯いてそう呟く
だからその言葉は...
「わたしがちーさいから......やなの?」
「べ、別にお前の事が嫌いってわけじゃなくて...」
名無しさんはパッと顔をあげる
「あのね、むねのおくでね、ジャンのことをおもうとキューってなるの」
ズキンっと心が痛む
.........その言葉が元の名無しさんに言われたらどんなに嬉しいことか...
「だからね、わたし、ジャンのことすき!わたしはジャンのことがほんとーにすきだもん!」
名無しさんが再び笑顔になる、俺はその笑顔にフッと笑い
「ありがとな」
...そう言った
もしも元の姿に戻ったらちゃんと素直になろう
ちゃんと気持ちを伝えよう
「ほら、風邪引くぞ座れ」
「えへへ、うん!!」
名無しさんは風呂用の椅子に座る。「いすつめたいー」とちょっと文句を言った。ちなみに俺は後ろで膝をついている
俺は目の前の鏡の隣にかかっているシャワーホースを持ち、最初は自分の手に出して温度を確認した
うん、これぐらいだな
そう思い、俺は名無しさんの背中にかけようとした
「じゃあかけるぞー」
「はーい♪」
その時、
ーーーーーーーボンッ
「......!?」
突然、名無しさんが爆発した
というか煙に包まれた
「な、なんだ!?」
俺は慌てて立ち上がる、名無しさんは一体!?
ふと、嫌な予感がよぎった
そう、風呂に入る前に少しだけ考えていたことだ。いや、まさか......
「ちょっ......なんなの...ケホッ、ケホッ....」
煙の中から声が聞こえる。名無しさんの声だ
だが、先ほどの子供っぽい口調から一転、いつもの感じだ
煙がだんだん薄れていく、なんだかヘンな汗をかいてきた
まさか....まさか.....
「わたし、今まで何を.........................................って...」
...............煙が、晴れた
いつもの名無しさんが、目を見開いて鏡ごしにこっち見ている
そしてタオルも何も身につけていないその体と俺を交互に見る
「////」
俺はその体に見惚れるしか無かった
「「.............」」
お互い無言のままだ
こんな状況どう説明する?いや、説明する前に殴られるよな
ちょっと待て、殴るだけで済むと思ってるのか俺。殺されるだろ
「あ、えっと....名無しさん....」
俺はとりあえず何かを言わないとと思い口を開く
すると、名無しさんは
「ジャァァァァァァァン!!!!!///」
「うぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!」
叫びながら俺を蹴り飛ばした
ドゴッっと近くの壁に俺の体は叩きつけられる
遠のく意識の中、俺は思った
『良い子の皆。誰かが小さくなったらお湯をかけるんだ。そしたら元に戻るぞ』
そして俺は意識を手放した
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〜その夜〜
「ふふ、成功だ」
食堂で謎の水が入ったビンを持って一人笑うやつが居た
「これでジャンも素直になれたかなぁ...」
ふふっと鼻で笑う
「僕も名無しさんが好きだけど、名無しさんはジャンが好きなんだから仕方ないよねー」
そう言った男は、やけに背が高かった