レオクラ♂

□ボクの好きなこと
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お蔵入り予定だったレオクラSS('∀`)

急遽発掘してきましたw

特に内容はないようw












頭の中はいつだって、





君の事でいっぱいなんだ









◇ボクの好きなこと◆










がやがや。


「すんませーーん、こっち生中3杯追加で〜!」


ざわざわ。


「ははははっ、おまえバカじゃね!?」


騒音。

笑い声。

酒の匂い。


「レオリオ、なぁにぼーっとしてんだよ?」


「ん…?あ、ああ。ワリィ」


レオリオは顎を支えるようにして置いていた手をパッと退けると、顔を上げた。


ここはレオリオの通う大学近くの飲み屋だ。
酒も食べ物も美味い割には値段も安く、学生がよく利用する事でも有名だった。


今夜は週末と言う事もあり、いつもより混み合っているようだ。


「何だよ、調子でも悪いのか?全然酒も進んでねぇみたいじゃねーか」


レオリオの隣に腰掛けた友人の1人が、からかうようにそう言って、ビールの入ったジョッキをグイグイと押し付けて来る。

その頬が真っ赤に染まっているところをみると、すっかり出来上がってしまっているようだ。


「いや、別に…。そんなんじゃねぇけどよ」


レオリオはそのジョッキを受け取ると、グイッと一杯飲み干した。
と、友人の矛先がレオリオから、他の者へと移る。


「ってぇ、ルイス!お前もなぁにいきなり本読み出してんだっ!ここぁ居酒屋だぞぉっ?」


友人の咎めるような声で、レオリオは目の前の男に視線をやった。

ルイスと呼ばれたその男は、大学内でもレオリオとは特に仲の良い友人の1人だ。

彼は大学の教授達からも一目置かれているような秀才なのだが、本人は我関せずのスタイルを貫いているマイペースな変わり者で有名だった。

ちなみに彼は今、長めの前髪を指で掻き分けるようにして、皮のブックカバーがついた小説のような物を熱心に読み耽っている。

声をかけられた事には気がついているのか、すぐに反応を返してきた。


「ああ、悪い。続きがどうしても気になって」


が、その視線は変わらず本に落とされたままだ。
こんな所でも相変わらずのゴーイングマイウェイぷりを発揮しているらしい。


「だからっつって、何も今読み出すことねぇだろ!」


ルイスの隣に腰掛けてたもう1人の友人が、伸ばした手でひょいとその本を取り上げた。


「どれどれ、どんな小難しい本を読んでやがるのか、この俺が…………ってなんじゃこりゃ!!?」


すぐに友人の表情が変わった。


「〜穢された純情、哀しみの人妻ポロリひとり旅〜…って、居酒屋ん中で官能小説読むバカがどこの世界にいんだよ!!」


「それは俺に対しても、その分野に携わる全ての人間に対しても聞き捨てならない発言だな。官能小説も立派な文学のうちのひとつなんだぜ?キミタチ」



しれっとした様子で小説を奪い返すと、ルイスはそれを傍らに置かれた鞄の中にしまいこんだ。

ちゃっかり栞を挟んだ所をみると、どうやら残りは家で読む事にしたらしい。

しかも通りすがりの店員に「枝豆ひとつ」なんてちゃっかり頼んでいる。
なんだかんだいっても彼なりに、この飲み会をエンジョイしているようだ。



レオリオはそんな友人達の様子をみながら、ふぅとため息をついた。


「あーレオリオのやつ、まーた溜息ついてやがる。何なんだよ、何か心配事でもあんのか?」


「え?あーー、いや、別にそういうわけじゃ」


「恋人の事だろ?」


ざっくり。
真正面から容赦のないツッコミが入った。


「なっ、ル、ルイス、てめ…」


「お前が心配する事って言ったら、それしかないもんな」


「……」


レオリオは照れ臭さで頬を赤らめると、ふいっと目をそらした。
が、そんな物で他の友人2人を誤魔化しきれるわけもない。


「てめーっ、こんなとこまで来てまた恋人自慢か!?このリア充がっ!」


隣の席に腰掛けた友人から早速突っ込まれてしまう。



そう、もちろんレオリオが飲み会にイマイチ入り込めない原因は、彼の最愛の恋人、クラピカにあった。


クラピカは数日前、一ヶ月間にも及ぶ任務を終えて帰宅したばかりだったのだ。

この数日間、会えなかった間に溜まり溜まった鬱憤や、その他いろいろな物(笑)を発散させたはずのレオリオだったが、それでもまだまだ足りない気持ちで一杯だった。

それもそのはず、朝に極端に弱い低血圧のクラピカは、レオリオが早朝に家を出る時点ではまだ起きてもこなかったし、会えるのは大学を終えて帰宅した夜の間だけだったのだ。


つまり、今。


こうやって飲み会をしている今こそが、2人のゴールデンタイム!


(っ…早く帰ってクラピカとイチャイチャしてぇ!!!)


それが今のレオリオの最大の望みなのだ。

だから本来は、講義が終われば目にも止まらぬ速さで直帰したい気持ちでいっぱいだったのだが、今夜の飲み会はクラピカから直々に行けと注意を受けたのだ。


「友人を大切にしないとバチが当たるのだよ?」


なんて昨晩可愛く注意された事を思い出す。

もちろんその言葉に異論はなかったが、レオリオとしては、今は友人達よりもクラピカと過ごす時間の方を優先したかったのだが…。


(ぅう…っ、…あいつ1人でフラフラ出掛けたりしてねぇだろうな〜??)


心配だ。




「……」


がたん。

レオリオは無言で立ち上がった。


「ん?どこ行くんだ?便所?」


友人の1人がビールを飲みながら声をかけて来る。


「お、おう」


レオリオは曖昧に笑って誤魔化しながらも、こそこそとトイレのある廊下の方へと歩いて行った。


「……」


ポケットから取り出したのは、もちろん携帯電話だ。

スピードダイヤルの1番を押すと、すぐに呼び出し音が鳴った。





ぷるるる、ぷるるる…


(クラピカ…、早く出やがれっ…!)


ソワソワしながら待つが、一向に呼び出し音が鳴り止む気配はない。

根気よく3分間程ねばってから、レオリオは仕方なく電話を切った。


「なんで出ねぇんだよ…!」


もしかして、クラピカの身に何か…!?

いやいや待て、もしかしたらもう寝に行ったのかもしれない。

そう思って腕に嵌めた時計をみると、11時を過ぎた所だった。

普段の就寝時間よりも幾分早かったが、無いとはいいきれない。


(いや…、でも…)



「クラピカちゃん、出なかったのか?」


背後から声をかけられて、慌てて振り返るとそこにはルイスが立っていた。

いつもながらの冷静沈着そのものを絵に描いた様な表情だ。


「ああ…。もしかしたらもう寝てんのかもしれねぇけど…」


「…」


ルイスは無言のまま、ポケットから携帯電話を取り出して、どこかにダイヤルした。

そのまましばらくして、電話口から耳を離し、首を横に振る。


「ほんとだ。出ないな、クラピカちゃん」


「だろ?………ってマテ!!!何でおめーがうちのクラピカの電番知ってんだ!!」


「シャワーでも浴びてる最中なんじゃないのか?」


「冷静に話を続けんなっっ!!……でも、シャワーか。ありえるな…」


確かに、このくらいの時間ならその可能性が1番高そうだ。


「……」


シャワーを浴びるクラピカ…。

レオリオはその姿を思い返して、無意識に口元を緩ませていた。

先日、クラピカが風呂に入っている最中に乱入した時の事を思い出したのだ。
散々怒られたが、あの後結局、風呂場で…。


(2Rもしちまったしなぁ…。あーー、クラピカマジですっげぇ可愛かった…)


にやにや。


「おい」


「……」


「お い」


ぺち、とデコに軽く衝撃が走った。

すぐ目の前にまでやって来ていたルイスが、どうやらデコピンをかましてきたらしい。


「な、なんだよいきなり!イテェだろーがっ!」


「お前が公共の場で放送禁止の顔してるのが悪い。ほら、そろそろ戻るぞ」


ズルズルと引きずられたまま席に戻ると、友人2人は楽しげに談笑していた。
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