レオクラ♂
□仲間以上、恋人未満
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時期的には、ヨークシン以降のどこかの時点です(´∀`)
仲間以上、恋人未満。
「なぁ」
「……」
「なぁなぁ」
「……」
「なぁなぁなぁっ」
「…っ、しつこいな。何なのだ、いったい!」
クラピカはため息交じりにそう言うと、くるりと身体を回してレオリオの方向に向き直った。
後ろからピタリとあとをつけて来ていた彼の動きが止まる。
「だから、さっきから言ってんじゃんかよ。お前の事が好きになっちまったって」
「……その件については、先程この上なく明快な回答を提示したはずだが?」
レオリオは手を伸ばしてがしがしと頭を掻きむしった。
「えー?なんだっけ?俺馬鹿だから覚えてねぇや」
「……」
ふぅ。
「…だから」
「うん」
「私は君の事を大切な仲間だと思っている」
「おう」
「……」
「そんで?」
「それでも何も、それだけだ」
レオリオがあからさまにガックリと肩を落とした。
「それだけってことはつまり、おめーは俺のこと好きじゃねぇってこと?」
「…だから、何度も言っただろう。私にそちらの趣味はないのだと…」
レオリオがすくっと顔を上げて見つめてくる。
「そんなの、俺にもねぇよ!大体俺は、おめーみてーな可愛げのねぇ男なんかよりも、ナイスバデーのおねーちゃんの方が好きなんだ!」
「…それは、…良かったな」
「良くねぇ!ぜんっぜん良くねぇよ!!」
ぶんぶんっとレオリオが全力で首を横に振る。
「むしろ問題はそこからだ。じゃあ一体なんで俺はお前に惚れちまったんだ?」
「私が知るか。自分で考えろ」
ぷい、と顔をそらして行こうとするが…。
「まてまてまてっ」
手首をガシッと掴まれてしまう。
「…しつこい男は嫌われるぞ、レオリオ」
ここでもまた、ため息交じりにクラピカが言いはなった。
「しょうがねぇだろ!おれだって混乱してんだよ!」
「…まったく」
クラピカはどうしたものかと、少しの間だけ考えを巡らせて、すぐに真っ直ぐ彼の方を見据えた。
「…仕方がないな。少しの間だけ君に付き合ってやる」
「え!俺と付き合ってくれんの?」
「君と、ではない!君に、だ!自分に都合の良い聞き間違いをするな!」
「…エーー」
「えーー、ではない!不満があるのなら私は帰るぞ!」
「あ、今のウソウソ!感謝してます!はい!」
コロリと手のひらを返されて、クラピカは本日何度目かの深いため息をついた。
ともかく、これ以上彼から逃げ回っていても仕方が無い。
とことん付き合ってやろうと決めたのだ。
「…それで、君は一体私のどこが好きだというのだ?」
「え…?」
レオリオが明らかに狼狽したような表情になった。
心なしか、頬が少し赤く染まったような気がする。
「そ、そんなのお前に言ってどうすんだよ…」
もじもじ。
「君が私の事を好きだと言うのなら、どこかにその理由があるはずだろう?」
「……」
レオリオは何故か恥ずかしそうに目をそらしつつも、ぽそぽそと呟き始めた。
「…そうだな、あえて言うなら、………可愛いとこ、かなぁ」
ピクリ、とクラピカがその柳眉を動かす。
「……だが君は、先ほど私に可愛げがないと言ったばかりではないか」
「だからっ、そういう所も含めて可愛く見えちまうんだよ!」
レオリオはそうまくしたててから、すぐに赤くなって俯いてしまった。
クラピカはどう反応を返して良いのやら分からずに、少しだけ戸惑ってしまう。
レオリオの事は、もちろん好きだ。
ただし先ほどもいったように、それはあくまでも仲間としての感情であって、彼を恋愛の相手として意識したことは、今までに一度たりともなかった。
当たり前だ。
自分達は男同士なのだ。
自分にはそちら方面の趣味は一切無かったし、第一、異性に対しての興味も希薄と言っていい程なのだ。
…いや、異性にというよりは、恋愛自体に元々あまり興味が無いのかもしれない。
(彼と一緒にいると心地良いのは確かだが…)
不思議なくらいに肩の力が抜けて、本来の自分自身に戻れるような、そんな気すらする。
そういう意味では、自ら好んで彼の側にいたいと思う事もあった。
だが、それとこれとはまた別の話だ。
「…レオリオ」
「…んぁ?」
「私は思うのだが…」
「何だよ」
「君は私がどうというより、単に女性に飢えているだけなのではないのか?」
「……はぁ?」
レオリオが、あからさまに眉をしかめた。
「つまり、そのせいで私を女性の代わりに見ているだけなのではないかと…」
「……」
レオリオは考え込むようにして黙り込んだ。
確かに、クラピカの言い分にも一理ある。
ここ最近、ハンター試験やら受験勉強やらで忙しく、以前のように女性と関われてはいなかったし、ハッキリ言って欲求不満状態が続いていた。
クラピカとは、試験の頃から毎日のように顔を合わせていたし、それが終わった今でも、時間があえばこうやって会うのを繰り返しているし…。
何よりも彼は、顔だけ見るとそこいらの女性よりもよっぽど綺麗で可愛らしいのだ。
言い訳がましいかもしれないが、彼をそういう対象として見てしまっても仕方の無い事ではあった。
(…そうなのか?ただの欲求不満なのか…?)
じっと、目の前のクラピカを見つめてみる。
陶磁器のように滑らかな白い肌に、薄桃色をした、柔らかそうな頬。
長い睫毛に縁取られた瞳は、まるで透き通るような碧色をしていて…、それにその小さな唇も、ふっくら艶艶していて、色も綺麗なサーモンピンクだ。
(……やっぱ、…スッゲェ可愛い……)
はぁ。
錯覚なんかではない。
クラピカは最高に可愛い。
レオリオが今までに目にして来たどの女性よりもずっと、綺麗だ。
(いや、待てよ…)
そこでふと、レオリオは動きを止めてウーンと唸った。
(もしかしたら俺は、こいつの顔が直球ど真ん中ストライクってだけなんじゃねぇのか?)
もしもそうなら、まだ取り返しがつく。
自分は男である彼を好きになったわけではなく、あくまでも彼の愛らしい顔に惹かれているだけなのだから。
問題は、それを確かめる方法なのだが――
「……クラピカ」
腕を伸ばして、ガシッと彼の肩を掴んでみた。
「どうした?」
「……俺は今からお前に、多少無茶なお願いをする」
「?」
「だから、落ち着いて聞いて欲しいんだ」
「…何だ?言ってみろ」
クラピカは多少嫌な予感を感じながらも、そう促した。
レオリオがすこぶる真面目な表情を浮かべて、言葉を続けた。
「チ◯コ見せてくれ」
・・・・・・
・・・・・・
2人の間に、ヒューと季節外れの木枯らしが吹いた。
沈黙が痛い。
やがて、クラピカが肩を震わせながらも、その唇を開いてくれた。
「…貴様を再起不能にする前に、ひとつだけ聞いておきたことがある。何故だ?」
「い、いや。だからよー、俺は今の時点では、お前に惚れてんのか、お前の顔だけが好きなのかが自分でも区別がつかねぇ状態なんだ!」
「……それで?」
「だからつまりっっ、おめーの肝心な部分を見せて貰ってだな、それでも萎えなかったら俺は男のお前を丸ごと好きだって事になんだろ!?」
「……」
ふぅ。
「な、なんだよっ、そのため息は!これでも一生懸命考えたんだぞ!」
「……まったく。呆れるほどに短絡思考の持ち主だな、君は」
クラピカはどうやら殴る気も失せてしまったらしい。
「し、しょうがねぇだろっ?こっちだって切羽詰まってんだ…!」
「……」
クラピカは何かいいたそうに、チラリと視線をやって来た。
「…それならば、もっと手っ取り早い方法がある」
「え?」
不意に、クラピカの甘い香りが揺れたかと思うと…
「!」
2人の唇が、重なっていた。
突然の出来事に、レオリオは身体を硬直させてしまう。
クラピカがさっと身を引くと、重なっていた唇がゆっくりと離れていった。
「……」
レオリオは、ぼんやりとしたままだ。
「…どうだ?こちらの方が分かり易いとは思わないか?」
「……」
レオリオは言葉をなくして、俯いてしまう。
「レオリオ?」
「……ワリィ」
「…え?」
不意に伸びてきたレオリオの腕に身体を包み込まれて、今度はクラピカが驚く番だった。
「やっぱ俺、お前の事、丸ごと好きになっちまったみてぇだ」
「……!」
クラピカは、ハッと息を飲んでから…、ふぅと息を吐いた。
どうやら完全に逆効果だったようだ。
レオリオは髪の毛に顔を埋めて、むぎゅむぎゅ抱き締めてくる。
「…ぅー、クラピカ〜、どうしよう。俺、ホ○の人にになっちまったぁぁ…」
「…まったく」
クラピカはため息交じりに、伸ばした腕で彼の広い背中を撫でてやった。
自分に責任はないとは思うのだが、彼の自覚を煽ってしまった以上、放っておく事もできないだろう。
「わかったよ、レオリオ。…これからどうすればいいのか、2人で考えていこう。な?」
「……んん…。クラピカ優しい。愛してる〜…」
「…ばかもの」
デコピン。
かくして、2人の奇妙な関係の日々は幕を開けたのであったーー。
つづく(?)
ここからどうやってエチに持ってくのか甚だ謎だw
とりあえず、クラピカちゃんには男前でいて欲しいデスね('∀`)