☆大まおSS☆

□誘惑のタキシード
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『あッ!』
 思わずの事で悲鳴が漏れる。
 その悲鳴ごと、湿った何かに奪われる。
『ん、んーっ』
 何が何だか分からず、叫ぼうとして開いた口の隙間からぬるりと何かが入って来て、息もできなかった。
 起き上がろうとはするものの、がっしり抱き込まれていて、首さえも動かせない。


・・・と、いきなり体がグルンと回り、天井が視界に入る。大ちゃんと位置が入れ替わった、と気付いた時には、強くソファに押し付けられていた。

「人の寝こみ襲うって、どーゆうつもり?、まお」

 大ちゃんが僕に覆いかぶさり、ニヤッと笑った。
「何で俺に、あんなことしたんだ? 言って」

そう言いつつ、大ちゃんはまた僕の唇を唇で塞いで、舌を入れて掻き回した。
 突然のことで、訳が分からない。
 舌の上をべろりと舐められて、ビクッと体が跳ねる。

 大ちゃんは起きていたのだろうか? 一体いつから?
 起きていて――分かっていて、僕のキスを受けたの?
 
 告白などするつもりなんてなかった。してもムダだと思っていた。
 けれど、一度だけと願ったキスが何度も貰えて。大ちゃんからもして貰えて。これはどういうことだろう?
 幸せで死にそう。死ぬなら、もうどうなってもいい。言ってしまいたい。
別に嫌われたって死ぬんだから・・・

『大ちゃん、ぼく……っ』

 長いキスの後、言葉を詰まらせると、大ちゃんが先を促すように首筋に口接けた。
 そこから快感が電流のように走り向け、全身が甘い痺れで満たされる。それに押し出されたかように、ずっと言えないでいた言葉が溢れ出した。

『僕、大ちゃんがッ・・・
だいちゃんがす…き』

 すると――。


「まお・・・。よく言った」
 大ちゃんはニイッと笑みを浮かべ、また僕にキスをくれた。
 ねじ込まれた舌が動き、僕の舌と絡み合う。
大ちゃんの唾液と僕の唾液とが混ざり合い、口の中で音が立つ。
 吐息も、舌も、唾液も、何もかも甘くて。飲んでも呑んで溢れて、気持ち良くて、眩暈がする。
これは夢なのかな?と思う程。

 これが大ちゃんのキスなんだ。そう思うと、さっきまで嫉妬で黒かった僕の頭が、今度は独占欲で真っ赤になった。
 こんなキス、他の誰ともして欲しくない。
 僕だけのものにしたい!

『だいちゃ、だいちゃんッ!』
 
僕は彼の背に縋りつき、叫ぶように言った。

『大ちゃんを頂戴・・・?』

 すると大ちゃんは。
「あぁ。俺もまおが欲しい」
 そう言って、タキシードの上着を脱ぎ捨てた。
「まおも脱げよ」
 僕の上から身を起こし、大ちゃんが命じるように言う。
「さっきの子達の化粧のニオイする。俺はまおの匂いの方がずっと好きだ」

 それは予想外の言葉だった。
『えっ!?』
 僕は仰天し、確認も兼ねて慌てて白の上着を脱いだ。カマーバンドを外し、プリーツシャツも脱いで上半身裸になる。
顔を真っ赤にしながら。
 そうしてよく見ると、ファンデーションらしい汚れが、肩や胸の辺りに付着してた。
 いつの間に着いたんだろう?
 覚えがなかった。お姫様抱っこした時かな? だったら――
大ちゃんの服にも付いてないのかな?

『ぼっ僕だけなんか…恥ずかしいよぉ・・・』

 掠れた声でそう言うと、大ちゃんはニヤリと笑ったまま、同じ様に服を脱いでくれた。裸のたくましい胸が現れて、不覚にも顔が赤くなる。
始めて見た訳じゃないのに。


 再び僕をソファの上に押し倒し、大ちゃんが僕の胸を丁寧にまさぐった。
 胸の突起を軽くつままれる。顔を寄せられ、片方の胸をちゅうと吸われる。舐められ、甘噛みされ、舌でなぶられてぞくぞくする。
 もう片方は指先で弄ばれ、つままれて、引っ掻くように。
『んっ。あぁッ』
 思わず声を上げた僕に、大ちゃんがくすくす笑いながら、
「気持ちいいか?」
と訊いた。

「まお。ここ・・・」
 僕に知らせるるように、僕のモノをゆっくりと撫でる大ちゃん。
『やっ…』
 否定しようと首を振るのに、大ちゃんは僕のスラックスの前を開いて、昂ぶってしまったモノを掴み出した。
『あァ!ダ…め』
 恥ずかしくて、もう赤面などというレベルじゃない。頭に血が上り過ぎて、くらくらする。

「俺のこと嫌いじゃないだろ?」
 大ちゃんはそう言って、噛みつくようなキスをした。舌がオレの口中を掻き回し、長い指が敏感な亀頭を撫で回す。

 ぐ頭に響く音は、上から? 下から?
 どちらが気持ちいいのか、どこをどうされているのかも分からない。もう快感で脳が冒され、先に待つだろう果てしか見えない。

『んん、んーっ!んんっん』
 
塞がれた口から声を漏らし、僕は大ちゃんの手に導かれて、自分のお腹から胸までを汚した。
 味わったことのない快感に、震えが治まらない。

 だけど、出したことで頭の方はクリアになって、焦りと申し訳なさでいっぱいになった。
 絶え絶えに息をしながら、僕は肘をついて少しだけ起き上がり、目の前の大ちゃんを見上げた。

『今度は・・・だいちゃ…んが』

 赤くなった顔を隠す。
震える手で、スラックスの前をひらく。すると大ちゃんのも、固く張り詰めていた。
 ゴクリと生唾を呑み込む。
 大ちゃんを見上げると惚れ惚れするほど色っぽくて。
 でも、舐めさせて貰おうと、うやうやしく持ち上げたのに――。

「オレは大丈夫だから」
 大ちゃんはそう言って、スッと身を引いた。

『えっ?で…でもっ』
 僕だけじゃ申し訳ないよ・・・。僕がそう言うと、大ちゃんはニヤッと笑って。

「オレはこっちでさして。まおと一緒に気持ちよくなりたいから」
 
と――僕のお尻を、ぎゅっと掴んだ。
 勿論僕は、恥じらいながらうなずいた。

 正直なところ、ここまで望んでいた訳ではなかったよ。想いを伝えられれば、それだけで良かった。
 だけど、思いがけずキスを許されて。告白を許され、肌を許されたなら、後は大ちゃんの望み通りにするしかない。

『好きだ、まお』
 大ちゃんが僕の中をゆっくり穿ちながら言った。
「お前がここまで堕ちて来るの、ずっと待ってたんだぞ。9つも離れた俺に堕ちるのを」
 僕は、大ちゃんの言葉をうわの空で聞いていた。
 痛みと、充足感と、そして体内にゆっくり入って来る大ちゃんのモノのことで頭がいっぱいだった。

「まおが撮影中、俺の隣の子達に嫉妬してたの、、知ってた・ンぞッ」

『あぁンっ・・あッ!』

 奥まで入ったのが分かった。それがズルリとギリギリまで引き抜かれ、また再度奥を突かれる。

『ンァッ!』
 悲鳴を上げる僕を、ゆっくりと攻めながら、大ちゃんが言った。
「俺だって、妬いてたんだけど。知ってたか?」
 僕は首を横に振った。それ以外に意思表示できない。何も喋れそうにない。

『あっ、んはァっ』
 痛い。なんだけど気持ちいい。何より、大ちゃんを飲み込んでいる。大ちゃんが僕のものになってる。

「もうこんなバイト、引き受けんなよ?」

 僕がうなずくと、大ちゃんは

「よし。」

と機嫌よく笑って……少しずつ、強く、早く動き出した。

「あぁ!ンァン。ァア」

 声が漏れる。
 閉じられない口からは、もう、言葉にならない喘ぎしか出ない。
 痛い。気持ちいい。嬉しい。幸せ。

 僕を貫き、揺さぶり、好き勝手に動いて、僕の中を自分だらけにして。そうして大ちゃんのことしか考えられなくなっている僕に、伝える様にに大ちゃんが言った。

「誰にも渡さない。まおは俺だけのだからな」
「あいしてる。まお・・・」
『僕も・・・』
 
僕は勿論、うなずいた。
 ソファがギシギシと軋んでいた。



【END】
  
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