「レイって肌キレイよねー」

ある日、レイの横で彼女の髪を手持ちぶさたに弄っていたウィンリィがふと呟いた。

「…はい?」

怪訝そうな表情で振り向いたレイの顔を、ウィンリィが両手で挟み込む。

「ねぇ、ちょっと化粧させて」
「えっ、ちょっと待っ…ウィンリィ!」


Girls Secret


「やっぱり似合うって!」
「…恥ずかしいですからやめてくださいウィンリィ…」

白い頬にのせられたチーク、薄く引かれた口紅、アイシャドウはピンク系で。
いつもまっすぐ伸びているだけの髪の毛はハーフアップに纏められ、少しだけおめかししたレイ。

「ね、服も変えよう!ちょっと待ってて!」

ウィンリィが忙しなく出ていき、程なくして持ってきたのは綺麗な色のワンピース。
手早くそれをレイに着付けて、ウィンリィは満足そうに彼女を見回した。

「うん、完璧!」
「もう…」

対してレイは恥ずかしそうに俯き、ため息をつく。

「…でも、なんだか懐かしいかもしれません」
「え、なんで?!面白そう!」

レイの発言にすかさず反応したウィンリィが聞くが、彼女は掴み所のない笑顔を浮かべてするりとはぐらかす。

「なんでもないですよ、ちょっと昔のことです」

そんな彼女の態度にウィンリィは頬を膨らませた。

「もう、レイったらつまんない!」
「内緒ですもの」
「教えてよー!」
「嫌ですー」

そんなことで一頻り騒いでいると、不意に部屋の扉が開き、ピナコが顔を覗かせた。

「ちょいとうるさいよ、あんたたち」
「あ、ばっちゃん!ちょっと見てよ!」

ウィンリィがレイをピナコに見せる。ピナコは眼鏡をちょっと引き下げて彼女を眺めた。

「おやおや、何かと思えばこんなことしてたのかい。似合うじゃないか、お前さん」
「あ、いえ、その…」
「よねー!羨ましいわぁ、レイったらなんでも似合いそうじゃない」

いーなー、と頻りに繰り返すウィンリィにレイが答える。

「でも私はウィンリィの髪、いいなと思いますよ」

だって、と言いながら彼女はさっきまでウィンリィが使っていたコスメ用具を手に取り、迷いなく色を載せていく。

「金髪なら珍しいからって注目されないでしょう?」

自分とは対照的に、青を中心としたメイク。
薄い色の金髪をおだんごにして、これも青いシュシュでまとめる。

「上出来」
「おや、うまいじゃないか」
「すごーい、キレーなおだんごだ!」






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