■藍屋秋斉■D
□R15[罪]
2ページ/2ページ
秋斉side
赤いふっくらとした唇に口付けをして…
恥らう姿を畳の上に押し倒す。
まだ男を知らない名無しさんの俺を見る瞳には、困惑と恐怖とそれから…悦びと…。
儚い抵抗すら愛しくて、細い両手を押さえつけて首筋に舌を這わせた。
白く、甘い香りのする項は俺を誘惑する。
「…手加減…できひんかも…」
まるで噛み付くように吸い付けば、名無しさんの唇からは艶かしい嬌声。
少しだけ乱暴に帯を解くものの、これでも手加減はしていると…恐らく名無しさんには伝わっていないだろう。
初めて見る名無しさんの素肌に、奪われたのは視線だけでなく理性も共に消えてなくなった。
「早くお前が欲しい」
訛すら消えうせて。
胸の膨らみに唇を寄せた時には、己の呼吸が荒々しく宙を舞う。
「秋斉さ…んっ」
舌ったらずな甘えた声が俺を呼ぶと、恥ずかしいのか身体をくねらせて
その浮いた背中に右手を滑り込ませ、逃げられないように抱きしめた。
「逃がさない」
言いながら、胸の突起を口に含み唾液と舌を絡みつかせる。
「やあぁ…っ」
びくんびくんと跳ねる名無しさんのカラダがひどく可愛くて、もっともっと苛めたくなってしまう。
俺がこんなに厭らしい人間だったとは、喘ぐ名無しさんの姿をもっと見たくてつい愛撫に執拗さが入り混じってしまう自分に我ながら驚くも
俺の腕の中でこんなにも濡れた姿を見せてくれる名無しさんがいけないのだと、俺を誘惑する名無しさんにその罪を擦り付けた。
「俺を夢中にさせるお前が悪い」
この姿をもっと見たくて
この甘い声をもっと聞きたくて・・・
華奢なカラダを存分に堪能する俺は名無しさんの秘めたソコに触れようとして我に返る…。
「秋斉さん?」
視線を上げれば、慶喜と共に団子をほお張る名無しさんの姿。
ぼんやりとした俺に慶喜が言う。
「最近お前の気持ちはどこかへ行ってしまうことが多いね」
少しだけ怪訝そうに
でも何事かと聞かずに慶喜は湯飲みを手にした。
「堪忍、考え事や」
下手な言い訳。
それをしながらも視線はひっそりと名無しさんを追っていた。
目の前で無邪気に笑う名無しさんの姿。
その姿に男の欲望が妄想を描いていた…。
「…あんさんをわての物にできるのは…いつになることやら」
この娘を手に入れてもう幾日か…。
「わてはそない、辛抱強い男やあらしまへんえ」
そっと開いた扇子の影で呟いた…。
終.
高杉晋作
「ようするにむっつりって事だな」
徳川慶喜
「そういうことだね」
古高俊太郎
「せやけど、男は妄想する生き物や」
沖田総司
「土方さんもしょっちゅうですよ」
土方歳三
「総司てめぇ、俺がいつなんの妄想したってんだ!!」