■藍屋秋斉■D

□[容]
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秋斉side





小さな人間だ。



そう思うのは、自らの気の短さゆえ…。



立場があると、忍ぶ恋としたのは俺方なのに…目の前で名無しさんがほかの男に口説かれる事すら許せなかった。



「あきな…りさぁ…ん…っ」



嫉妬から。



華奢なカラダを強引に布団に沈めた…。



あの場で、ただ言葉で牽制しただけでは俺の気がすまなかった。



騒ぐ遊女や黙ったままの若旦那をそのままに、名無しさんを部屋へと引き込んだのは



自分の物だと確かめたかったからだ。



「…も、許してぇ…っ」



幾度も果てて



それなのにまだ俺に開放してもらえない名無しさんは、貫かれたカラダを蒸気させ意識を朦朧とさせている。



「なんでやろう。

 あんさんの事となるとわては…周りが見えへんようになる…」



後先考えずに行動する事なんて、この俺にはない事だと思っていた。



自分の感情ぐらい、いつものようにいくらでも操れると思っていたから…。



白い肌に指を食い込ませ



潤う中心を味わうように突き入れた欲で激しくかき混ぜた…



「やあぁ…っ

 そこだめぇ…!」



「せやね。あんさんはココ弱いんやったね。

 わてだけが知ってる、名無しさんはんの気持ちいいところや…」



びくびくとカラダを振るわせる名無しさんに言葉で追い詰めて…何度目かの果てをくれてやる。



そしてそのまま意識を手放す名無しさんを見送った…。



「…さて」



甘い甘いこのカラダを味わった後



待っているのは興味津々な遊女達と言葉を失った若旦那。



名無しさんのカラダを開放し、羽織を身に着ける。



「あんさんを好きになって、なりふり構わずもがいたわての事、話してきまひょ」



眠る名無しさんに囁いて、ゆっくりと立ち上がった。



廊下の向こうでは俺たちを探すいくつかの声がする。



この恋はいつ容になるかと思っていたが



思いがけず日の目を見る事になった。



「あ、秋斉はんっ!」



部屋に名無しさんを寝かせたまま廊下へ出ると、すぐに遊女達に見つかった。



「もう、なんで隠してはったん?言うてくれたらええのに!」



「あの秋斉はんが人を好きになるやなんて…驚きやわ」



口々に言う彼女らの言葉に、そっと人差し指を唇の前に立てた。



「しぃ。名無しさんはんが寝てはる。話は向こうへ行ってからや」



大切なものを守るのは当然の事。



その俺の仕草にまた、遊女らの悲鳴が上がる。



「静かに言うてるやろ」



さあ、自分で言った事の責任を持つとしよう。



結婚すると言ったら、誰が一番驚くだろうか。



その答えを想像しながら、皆が待つ先ほど場所へと戻っていった…。





終.

高杉晋作
「花粉で頭がボーっとするぞ」

古高俊太郎
「花粉かんけいないやろう。いつもの事や」

徳川慶喜
「しかし京都にいけるのはうれしいね。楽しみで仕方がないよ」

藍屋秋斉
「ぜんぜん痩せへんかったようやけんど…ええんやろか」
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