■藍屋秋斉■D

□[猫]
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ヒロインside





「どないしたんや?」



しがみついた背中の主が優しく問う。



仕事の手を止めて



誰もいない部屋の中で私達二人きり、ゆっくり呼吸を合わせてくれる…。



「えへへ…甘えたい気分だったんです」



恥ずかしさを隠すように、でも何もかも許してくれるような雰囲気に素直な気持ちを口にすると



手にしていた筆をおいて優しく息を零した。



「ここに来たらええのに…」



首だけで振り返り、流し目のように視線を私に向ける秋斉さんが自身の膝をポンと叩く。



ここにおいで



そう言うように。



「・・・いいの?」



ちょっとだけ甘えるような声で聞くのは、お仕事の邪魔をしてないか確認するため。



でも秋斉さんが言うのだから拒まれる事なんてないって分かっているんだけど・・・。



「わては小さいあんさんの腕に抱きしめられるより

 この腕の中にあんさんを抱き締めてる方が好きなんや」



両手を広げて私を呼ぶから。



その背中から離れて腕の中へと収まった。



「秋斉さん・・・」



小さな子供のように無邪気に彼の腕の中に甘えられるのは



秋斉さんがこうやって私を大切にしてくれているから。



見かけよりずっとたくましい胸元に頬を寄せて



コロコロと喉を鳴らす猫みたいに甘える私を秋斉さんは飽きる事なくずっと受け入れてくれる。



「・・・かいらしい娘」



何より今幸せなのは私なのに



それ以上に幸せそうな音色で囁く秋斉さんに胸の奥が甘く締め付けられた。




終.

高杉晋作
「もうすぐ春が来るな」

古高俊太郎
「薬局に花粉シリーズが並び始めたようやね」

沖田総司
「今年も死に掛ける事間違いなしです」

徳川慶喜
「あ〜やだな、花粉。花粉やだな・・・」
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