黒と緋の鏡
□第二夜
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結っていない髪が風に揺れる。
前に垂れてきた髪を耳にかけ、ぶらぶらと足を揺らす。
あーのどかな朝は久しぶりだなぁ…
「陰陽師、ねぇ」
京の都で大きな名を馳せる大陰陽師。
その後継と謳われるその孫。
「あー、やれやれ」
ぼそっと溜息をつき乱雑に前髪をかく。
紡たちの事情に安部家を巻き込むわけにはいかない。
かといって紡を安全な場所で保護してほしいし…。
なんつーか、
「すっっっっごくめんどくさい…」
「なにがだ?」
突然後ろから聞こえてきた声に肩がゆれる。
「ぅわっ!」
ぐらり、とバランスが崩れる。
ーーーやば……っ!!
体が大きく前に倒れる。
地面とこんにちはなんてありえない…!
衝撃に耐えるためぎゅっとめを瞑った。