黒と緋の鏡
□第五夜
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くるり、と亜季は後ろに佇む青龍をみてにっこり笑う。
「神将さん。いまの内緒ですよ?」
「………いまのはなんだ」
普段の3割増しで眉間にシワをよせ亜季を睨みつけた。
漆黒の瞳に穏やかな光を灯して、亜季はくすくす笑う。
「そんなに怖い顔しないでください。ちょーっと土地神の力を戻しただけですから」
ーそれがちょっとでできるわけがないだろう!!
心の中でそう叫びながらも歩きだした亜季を追う。
眉間にシワを寄せながらもついてくる神将をおかしく思いながらも次の行き先を告げた。
「やっぱりお膝元で騒ぎを起こしてしまったので貴船の龍神様にでもお詫びとご挨拶をしてきます。」
「貴船か…」
遠いな、と続けた青龍を見上げ亜季はきょとんと見上げた。
「そーですか?だって''すぐ其処''ですよ?」
「ーーーーーは?」