黒と緋の鏡
□第三夜
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冷たい水で顔を洗えばスッキリしたのか犬のように頭を左右にふる。
……冷たい。水とんでるわ。
無言で紡の固定し、わしわしと荒々しくふく。
「ふぐっ」とか「うにゅっ!」とかうめき声が聞こえたがにこにこしてふいてあげた。
「…………いいのか?」
後ろで青龍殿の呟きが耳に入るがにっこりわらって告げる。
「よいのですよ。童の躾は大切ですので」
ああ、水しぶきが飛んだの根に持ってるんだな…。
なんともいえぬ顔で青龍は亜希を見つめたのであった。
***
ーーぱんっ
「いただきますっ」
しっかりと両手を合わせて挨拶をする紡をみて、清明も露樹も温かい目を向けていた。
ーー年のわりに箸の使い方も上手い。礼儀もしっかりしている。巫という職についていたかもしれないがさすがとしかいいようがないのぅ…。
元気良く食べる童の姿に心がほっこりとした二人であった。