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□小さな誓い
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君のために強くなりたいんだ。
そういってゆうちゃんは遠い学校に転校してしまった。
小さい頃からずっと一緒。ゆうちゃんの不思議な力で私たちは色んな世界を旅した。
白い砂漠や月の舟、天使たちとお話ししたり、アトランティカにだって行った。
それは二人の秘密の遊び。
でも別れは唐突で、二人の秘密が私とゆうちゃんを引き裂いた。
ゆうちゃんはアリス。
『てんぷ』の才能なんだって、すごいね。頑張ってね。
笑顔でお別れ。でも最後まで笑っていられなくて、涙がこぼれてしまった。ゆうちゃんはしばらく黙って、ぎゅっと手握りしめた。ゆうちゃん、ゆうちゃん、手が痛くなっちゃうよ。そう言ってその手をほどこうとすると彼は私の手を両手で大切そうに握った。
(「必ず帰ってくるよ。きっとすごいアリスになって、君を守る。僕は君のために強くなりたいんだ。」)
強くなんてならなくていい。優しいゆうちゃんのままでいて。私のそばにいて。
どの言葉も届かないままゆうちゃんはいなくなってしまった。
それが私の初恋。私はずっと待ってるの。
「ーーーっ、まこと!」
目を覚ますと優しそうな顔の男の人が私を見下ろしていた。
なつかしい夢を見た。
「ひょっとしてまだ寝ぼけてる?せっかく思い出してもらおうとアリス、使ったのに」
ほんのちょっと寂しそうに眉を下げ、それでも人を不安にさせないように笑う。昔からの癖。
私はぼろぼろと泣く。
あとからあとからたまりにたまった心の涙が溢れて止まらない。
泣き出してしまった私に目の前で慌てふためく彼が愛しい。
「おかえり、…おかえりっ…!ゆうちゃん」
幻覚を自在に操る、優秀なアリス使い。飛田裕。若くして世界中で活躍し、誰もが彼の操る幻にうっとりと目を閉じた。
彼は長いときを経て、彼女の元へと帰るために強くなった。
「ただいま、やっと言える。…君が、------好きだよ」
幸せな日々はこれからいつまでも続いていく。