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□接触
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「原さん、ちょっといいですか?」

「わっ!」

ひとまず授業…と思っていると黒い髪をリボンでひとくくりにまとめた丸メガネの先生?がおどおどとした様子で私の近くにやってきた。

教室にこんな人いたっけ!?と驚いていると、びっくりさせてすみません…でも最初から教壇に立っていたんですよとしくしく泣かれてしまった。

「いえ、こちらこそ気が付かなくてすみません…あの、先生ですか?」

「はい。B組の副担任です…。」

「じゃあこれからお世話になるんですね、よろしくおねがいします」

申し訳なく思ってにこりと挨拶すると副担任の先生は驚いたような顔を見せた後心の底から嬉しそうに「はい。」と言って笑う。心なしかバックにお花が飛んでいるように見えるのは気のせいだろうか。

この先生…なごむなぁ〜。ついこちらもニコニコしてしまう。

二人でニコニコ笑い合っていると呆れたように蛍ちゃんから何か用があったんじゃないんですかとツッコみが入った。

「あっそうでした!実は今日の授業のことで用事がありまして」

「授業、ですか?」

「原さんはまだ教科書とか文房具だとか必要なものを持っていないでしょう?それで、今日は一日学園を見て回ったらどうかと鳴海先生から伝言がありまして」

「それは…でも。私はまだ学園に来たばかりできっと迷ってしまいますし…」

「はい。ですからパートナーをつけるとおっしゃっていました」

「パートナー?」

するとそこまで来て副担任の先生は顔を曇らせまたおどおどしはじめた。

「そうです、きょう一日あなたに学園内を案内するパートナーなんですが…その…」

ついに先生はうつむいてしまった。

いつの間にか教室内も静かになっていてみんながこちらに注目している。蛍ちゃん我関せずといった風だけど聞き耳を立ててるし。

「あの、いったい誰なんですか?クラス委員さんとか…?」

「私もそういったのですが、鳴海先生が…どうせ今日もサボるんだろうからと、日向君を……」

!!!!!???

教室中がひやりと固まった後ざわざわと一気に騒がしくなる。

ななななんですってぇぇ!!?なんでよりによって日向棗!?

ぽかりと口を開けて固まっていると後ろからガンッと机を蹴った鈍い音がした。

「…ふざけんじゃねぇ………っ」

「そっそうよ!なんで棗君がそんなこと!」

「あ、あのっ先生僕が代わりに行くんじゃだめなんですか!?」

パーマちゃんが納得いかないと怒り、まだしゃべったことないけど委員長があわててフォローを入れてくれる。できるなら私だって委員長にお願いしたい!

酷く不機嫌そうな顔で棗君は先生を睨み付けていた。

「ひぃ!ごごごごめんなさいっでも『ちゃーんとパートナーとしての役割を果たさなかったらペナルティだぞ♥』と鳴海先生が!」

「…………っち」

イライラを隠さないまま舌打ちをひとつした後

バァン!!

スタスタと歩いて行って教室のドアを蹴りあける。

「…おい、そこの記憶喪失」

「はっはい!」

「さっさとこい。燃やすぞ」

「あっ!棗!オレも一緒に行くよ」

それだけ言って教室を出て行ってしまう彼を流架くんが追いかけて行って、それを見て私もは慌てて駆けだした。

(あぁ…さっそく目立たないってルール守れそうにないな…)

騒がしいままのB組を後にしみじみとそう思った。



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