□第6章 EPISODE ZERO (後編)
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―――――――――――――― 10年前(レイファ視点)


(ここは・・・どこだろう・・・。アタシは・・・誰?

何にも思い出せない・・・。寒い・・・それに体が重くて動けない・・・。

アタシこのまま死ぬの・・・?)

―――――――― ガサ、ガサ。
?誰か近づいてくる・・・。やがてその足音は私の目の前で止まった。

エ「おい、生きてるか?」

『う、うう』

私は少しだけ重い瞼を開いた。
顔はよく見えないがそこには確かに誰か立っているのがわかった。
しかしそれを確認できた瞬間私は意識を失った。






辺りを見渡せば立ち上る炎に囲まれる。その中で私の大切な人たちが殺されていく。

『いや!殺さないで…』

必死でそう叫ぶが私の声は奴らの耳には届かない。
ついにはその刃は私に向けられた。
私は死に物狂いで走り続けた。後ろからは大人数の足音が追いかけてくる。

(怖い!!捕まれば確実に殺される!!)

そう考えるだけで恐怖がこみ上げてきた。

(助けて!!誰か!!)

声を出したくても声が出ない。私は心の中でなんどもそう叫び続けた。

その時、

『!?』

暗闇の道の先に白い光が見えた。やがてそれは人の形を現した。
私はその光に向かって走り続けた。
しかし、近づいていくとともにその光がだんだん離れていくのがわかった。

『行かないで… 一人にしないで…』

涙を流しながら必死でその人の手を掴む。その手はとても温かかった。
辺りを見ると、さきほど暗く冷たかった世界がパアアと明るくなり、追いかけてきた奴らもいなくなっていた。
私は改めて手を握ったその人を見る。やはり顔はわからない。
でも、なぜかこの人といるとものすごく安心した。
そしてその人は優しく私の涙を拭ってくれた。
その優しい手に私は安らかに目を閉じた。
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