過去夢小説

□鬼と魔女
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一方は鬼と呼ばれ、もう一方は魔女と呼ばれた。恐れられるべきこの二人は、何の因果か恋仲であった。

真選組の鬼・土方十四郎は、その類い稀なる思考力と判断力で組織を動かした。その風貌に"泣く子も黙る鬼"と言わしめた男だ。
真選組の魔女・何某名無子は、その膨大な知識と圧倒的な美貌で組織を導いた。"数多の男を狂わす魔女"と言わしめた女だ。

二人には共通点があった。真選組という組織において、副長であること。そして頭脳派であること。

唯一の女隊士である名無子は、頭脳明晰でありながら剣の腕前もなかなかのものだ。だからこそ第二の副長として抜擢されたわけだが。
齢は落ち着いた見た目とは裏腹に、一番隊隊長・沖田総悟とあまり変わらない。

彼女は他の隊士たちにとって紅一点だった。


「名無子ちゃんっ、今日俺と一緒にご飯食べない?」

「結構です」

「何某さん、これ君のために買ってきたんだ!」

「要りません」

「名無子さん、明日デートしません?」

「しません」


彼女は素っ気ない。
一見ただの冷たい女のように思えるが…。


「うおおおおおお!副長より強くたくましく良い男になって出直してやるぜええええ!!」

「俺はお前の100倍は強くなるがな!」

「なにをー!?」

「絶対に名無子ちゃんを振り向かせるっ!」


…何某名無子は計算高い魔女なのだ。



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