短編夢小説

□土方生誕記念
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今日は俺の誕生日だ。

いつもギリギリまで完全に忘れているのだが、前日…つまり5月4日になると思い出す。
それには理由がある。
毎年サプライズで祝おうと何やら計画してくれているらしいが、実は全くサプライズになっていない。

今年も例年通りバレバレだった。
いや、今年は新しく誰某名無子が入隊し、そのバレバレ加減にも拍車がかかった。
あいつは他のヤツよりも天然というかアホだ。

例えば大広間にあるカレンダーの5月5日のところに思いっきり

"土方さんの誕生日!"

と書いてある。
この字から察するに、たぶん名無子が書いたものだ。

他にも白々しく「土方さんってー何か欲しいものとかあるんですか?」と聞いてきた。
「なんで?」と聞くと「いっ、いや?物欲とかあるのかなーって」
と目を泳がせながら言っていた。



さて、今日はその誕生日当日。
夜の9時に大広間に来るよう言われた。
夜になるまで普通に仕事があるので、今部屋で事務作業をしている。

…ん。
廊下に誰かいる。
たぶん山崎だな、あのシルエットは。

「なんだ山崎」

「あ、見えてましたか?」

「なに」

「土方さん、お誕生日おめでとうございます!!」

「おーさんきゅ」

「それでこれっ、お気に召すかわかりませんが」

山崎はタバコ1カートンを俺に差し出してきた。
これは…!

「山崎…お前どうやってこれを手に入れた」

「ちょいと知り合いのツテで」

これは俺がいつも吸っているマヨボロの中でも、年に数百箱しか生産していないというもはや都市伝説となりつつある「金箔マヨボロ」だった。
ただのマヨボロでも嬉しいのに、まさかの金箔マヨボロしかも1カートン。

「…ありがとな」

「いえいえ〜。でも吸いすぎはダメですよっ!」

さすが監察。
謎のルートで入手しやがる。

お?次は…近藤さんか?

「と〜〜し〜〜」

「入っていいぞ」

「はっぴばーすで〜〜と〜〜し〜〜」

近藤さんは音程のとれてない歌を歌いながら入ってきた。

「ありがとう、近藤さん」

「さてさて十四郎くん。今日もお仕事に勤しむ君にはこれ!!」

「?なんだこれ。開けていいか?」

開けてみると、中には黒縁のメガネが入っていた。

「最近遠く見るとき目細めてたろ?見えてない状態が続くと目に負担がかかるからな」

「おお!!よく見える!!近藤さんが人間に見えるぞ!!」

「あれ?裸眼だと何に見えてたの?ゴリラ?ゴリラに見えてたの?」

そういえば遠くが見えないと思ってたら視力が落ちてやがったのか。
正直超見えて助かる。

「大事に使うよ」

「おう!それじゃ頑張れよ」
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